ばんえい、一転「存続」へなお

 ばんえい競馬、まだ「廃止」ではありません。

 サイバッチ!お約束の枕詞で言えば、カメのようにトロいマスコミ、が役所サイドからのリリースを鵜呑みにして、何の考えもなく「廃止」報道をしているだけ、というのは、先週も報じた通り。帯広市岩見沢市の二市による共同開催構想から岩見沢市が「撤退」しただけのことで、帯広市は単独開催含めてまだ可能性を模索中、という予言通り、今週末、事態が大きく「存続」へ向けて動き始めました。

 北海道新聞以下、地元紙はもちろん、全国紙までも、岩見沢市の「撤退」によってあたかも「廃止」が確定したかのような書き方に終始していた中、サイバッチだけは「まだ可能性あり」と書きました。実際には現時点で、帯広市単独開催へ向けて関係者が組織や資金など、必要な条件を調整中、です。

 先週末に動きが急になりました。まず、自民党の中川政調会長が帯広入り、帯広市長と水面下で接触、「文化遺産としてのばんえい競馬」の価値を強調し、地元が存続の熱意を示して枠組みを提示すれば農水省としても支援する構えがある、ことを伝えると、今度は次いで青木参院幹事長が札幌入り、高橋道知事とこれまた接触、おそらくここでも先の中川コメントに沿った内容を伝えたはずです。

 「確かに、中川の帯広入り以降、事態があわただしく動いてますね。十勝の農協連が帯広市農政課などと連携して、地元で単独開催の可能性を模索しています。帯広市長自身も単独開催の可能性を明らかに示唆する発言をし始めましたし、「廃止」確定、と先走った道新(北海道新聞)やその他全国紙は、軌道修正にアタマ抱えてますよ」(地元で取材中のカマドウマ6号)

 材料になったのは、まず地元の馬主会が一億円、厩舎関係者の調騎会が四千万円の「寄付」を申し出たこと。つまり、帯広市岩見沢市に提案した来年度の予算案では、最悪年間三億円程度の赤字が出るかもしれないのが懸念されていたのだが、だったら、その赤字推定分を先に積んじまうなら文句ねえだろ、という男前な荒技。

 「馬主会としてまず一億、ですが、これとは別に個々の馬主に募金を募ればもう少し上乗せできる、とも言ってます。ばんえいの馬主には地元の畜産業や土建業など“太い”ダンナもいますから、そのへんはさすがに馬力ありますね」(カマドウマ6号)

 去年の笠松競馬の「廃止」騒動では、日高の某牧場主が一億を供託すると申し出たこともあるし、また、さらに二年前の高崎競馬では、まず「廃止」ありきの群馬県側の動きに鈍いのに業を煮やして、調騎会側が独自に予算案を作成、最後は「賞金ゼロ」の案まで出したことがあるけれども、それらの前例に比べても、いきなりこれだけのゼニを積むだけの余力があるばんえいは、いや、たいしたもの。

 それに対して、主催者側はとにかくもう仕事をしたくない、場合によっては年度内で開催打ち切り、自分たちは有給休暇消化して知らぬ顔、を目論んでいて、この週末と月曜日の三日間の開催でも、折からの「廃止」確定報道で入場者が増えているのにもかかわらず、馬券の発売窓口を普段から減らして閉じてしまう始末。「人手がいない」という言い訳だったけれども、先日の北見開催の最後でもかなりの人出でこの帯広開催でもそれは予想できたのに何の手も打っていない、ここの主催者はほんとにひどいものです。

 テレビクルーも各社入っていて、目立っていたのはテレ朝の『報道ステーション』。女子アナ河野明子をリポーターに例によってクルーその他を従えての大名行列。主催者側の広報から紹介された厩舎に貼りついて、ということは主催者側に都合のいいことしか言わないようなソース、ということなのだが、まあ、ルーティンワークでカメラを回していました。河野は河野で、なんつ〜か、女優気取りで指示通りにパドックを眺めたり、厩舎の食堂(飯場、ですな)で定食食ったりしてましたが、例のハルウララ騒動の時の内田恭子と同じような、全身からサベツ意識丸出しで歩いているあたり、そりゃ現場のうまやもんたちにはあんたみたいなねえちゃんの存在自体、えらい抑圧なんだよなあ、とあたしゃジト眼で拝見していたような次第。人の良さげなディレクターは「カメラ回ってると、厩舎の人ってホンネしゃべってくれないんですよねえ」と困ってたけれども、そんなものどこだって当たり前で、せめてその女子アナ丸出しのねえちゃんにマイク突きつけるのを控えたらどうよ、と言いたくなったのをグッとのみこみました。今週半ばくらいに報ステニュース23、そしてNHKと各局が特集予定のようですが、どっちにせよ、そんなソースでどういう具合に編集して見せてくれるのか、「廃止」から存続の可能性が出てきた地元の動きをどう追随するのか、お手並み拝見、というところです。

 ひとつ、絶対オフレコ、を条件にカマドウマ軍団が聞き込んできたハナシをいくつか。

「今の主催者のトップにいる某が、ばんえいの競馬場利権の親玉ですよ。馬場の砂やそりの製作など、競馬に関わる利権を全部集約して好き放題やってきた極悪人です。だって、開催中にオンナのところシケこんでて、部下が呼びに行ったら逆ギレするってんですからすごいっす。そりの制作で親戚の鉄工所(実績なし)に落札させてたり、気に入らない調教師のウマから禁止薬物出そうとしてみたり、とまあ、厩舎関係者はおっかなくて文句も言えない、って状態が続いてたそうですよ」

 「ばんえいの組合で旭川の古いボーリング場の施設を借りて、場外馬券のマシンを置くセンターと出張事務所を持ってるんですが、そこの賃貸料がなんと年間一億数千万。これには平地のホッカイドウ競馬も相乗りしてて、でもこっちの賃貸料は確か年間3000万くらいとか。これって、どう見ても道営の監査が厳しいので、市営の組合でいい加減なばんえいの方に「アンコ」を詰めて山分け、の構図ですね。このへん、経営改善委員会で突っ込まれても、「相手方が行方不明」とかわけのわからない説明で逃げ回っていて、これはもう、これまで潰された競馬場同様、「廃止」でうやむやに、の狙いかと。いま話題の岐阜県の「裏ガネ」だってあれ、笠松競馬のあがりが入ってのことですからね」

 この組合をとにかくいっぺん解散して、新たに民営化の雛型となるような主催者組織を編成し、そこに先のカネを預託、来年度は「高知方式」の四半期ごとのサドンデスでやってみる、というのが、帯広単独開催を画策している側の大筋のようです。

 「切り札的なサプライズ、で、大手民間企業からの参画も模索してますね。地元のイオンは、厩舎関係者が日曜とか駐車場に馬車出して家族連れにサービスしたりしてきたこともあって、もともとばんえいには好意的ですが、それらとはまた別に大きな出資者にアプローチしているようです。このへんには農水関係者が水面下で動いている形跡がありますね。今週末から来週にかけて、何か表に出てくるんじゃないかと」

●編集後記
 ばんえい存続へ向けては、「文化遺産」というのがキーワードになってくるでしょうね。遺産、ったって今も生きてるんですが、とにかくそういう能書きを地元でつけてできれば道民規模で盛り上げて、畜産振興のカネでも何でも引っ張ってきやすくしろ、というのが、中川コメントとその背後にあるおそらくは農水筋の「サイン」かと。

 確かに、かつてのばんえい競馬は確かに仕事で使っている使役馬たちの競馬、だったんですが、今やはっきり言って、食肉用馬の競馬。だから、つぶれたら馬肉市場に大きな影響があるわけで、このへん、同じ農水省でも競馬監督課、と共に、食肉・鶏卵課(なぜかタマゴと一緒くた…)の案件、でもあるわけです。平地の競馬ウマはサラブレッドもアラブも軽種馬、ですが、ばんえい重種馬ブルトンだのペルシュロンだの比較的新しく入った外来血統で改良されて、今や一トン超のバケモノも珍しくない。でも、少し前まではせいぜい700キロくらいまでで、実際にオフシーズンは材木引っ張ったり、土地を耕したり、と実際に使役している馬たち、だったわけです。

 その使役馬たちは確かに今より小柄でも、強かったと言います。逆に今の馬は大型でも心臓が強くない、とか。使役で心臓が鍛えられていた、というわけで、このへん、いまどきの相撲取りやコドモなんかにも通じるハナシで、興味深いですね。

 ばんえいの馬場の障害(コブ、ですね)にも、競馬場によって形が違ってて、その障害の場所も同じ200メートルのコースで微妙に違ってたり、そのへんに馬券の妙味もあるそうで。もちろん、馬の血統や馬体、体型などでも適応性が違ってくるわけで、このへん、恥ずかしながらあたしも平地の競馬がほとんどだったのであまり詳しくなかったので、改めてベンキョーになります(*^_^*)


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