1994-08-01から1ヶ月間の記事一覧

CDと書物の間

CDのリバイバルが甚だしい。 とりわけ、洋モノよりも和モノに顕著だ。七〇年代あたりのフォーク、ロックはもちろんのこと、最近では八〇年代のものまでもすでに「リバイバル」の対象になっている様子。しかも安い。一枚千五百円から二千円弱といったところ…

「夏」の風景、「海」と「青春」

「ああ、海に行きてぇなぁ」 誰かがそうつぶやいた。赤坂は寿司詰めの六畳ひと間、何人もの若い衆が男女混成、仕事もないまま真夏の暑さの下、あぶられるような日々を下宿に送っていた。石井獏、内山惣十郎、小松三樹三、岩間百合子、沢モリノといった面々。…

予備校の教員室から

予備校の教員室には専任の教員だけでなく、非常勤の教員として「食えない」大学院生がたまっていた。博士課程の単位だけは取ってしまって職がないので籍だけ残している、俗にOD(オーバードクター)と呼ばれる連中がほとんどだったが、日常の教務の大部分…

たけし、を葬る論理

ビートたけしの「事故」をめぐる報道のさまは、彼がどのようにマスメディアの中でその影響力を行使しているかが如実にわかるものでした。それは彼自身が意図したものであるかどうかはわかりませんが、少なくともビートたけしという存在をめぐるマスメディア…

「学問」する身の信頼性

*1 人の書いたものを読む。その書いたものに対して、あるいはその達成の上に、また何か新たな言葉をある条理に沿って書きつづってゆく。紙の上の文字を介したそのようなやりとりの辛気臭い蓄積の中に、何かのっぴきならないものが宿り始め、関係が、場が発熱…

「旦那」と「いろ」と「まぶ」の間――あるいは、日常の“どうでもいい”部分についてのささやかな考察

*1● 先日、とある人から電話をもらった。 某官庁の財団法人として作られたという団体の、まだ若い研究員だった。「遊び」を対象とした共同研究を組織しているのだけれども、民俗学から見た「遊び」といったことについて何か教えてもらえないだろうか、といっ…