CDと書物の間

 CDのリバイバルが甚だしい。

 とりわけ、洋モノよりも和モノに顕著だ。七〇年代あたりのフォーク、ロックはもちろんのこと、最近では八〇年代のものまでもすでに「リバイバル」の対象になっている様子。しかも安い。一枚千五百円から二千円弱といったところ。CD購買層の大部分を占めるというティーンエイジャーを中心とした若い世代にはこの安さだけでも魅力だろうし、何より、サブカルチュアを糸口にする以外「歴史」へ向かう傾きなど抱きようのない彼ら彼女らの世代意識にとって、このようなリバイバル音源再発のブームは意味あることだろう。

 先日、近所のレコード屋でそのテのリバイバル盤を物色していたら、店員のおねえちゃんに「あの、これ持ってらっしゃいます?」と声かけられた。何かと思や、小さな赤い本。表紙に『Q盤大事典』と書いてある。そういう昨今増えたリバイバルもののCDを網羅した目録で、「非売品」とあるから販売促進用らしいが、それにしては分量も二七〇ページ以上、結構きっちりした造りになっている。 この「Q盤キャンペーン」、日本レコード協会に加盟しているレコード会社二七社が横断的にやっているらしい。「旧盤」と「Q盤」をひっかけたネーミングはダサいが、「欲しかった名盤九七一枚をこの一冊に大編集」と謳っているくらいだから気合いは入っている。各社が保有している旧盤の権利をもとにCD化してゆくのだろうから、とりあえずそう手間もかかるまい。よっしゃ頑張れ、とひとまずエールを送っておこう。

 ただ、レコードやCD、あるいはビデオといった文字以外のメディアについても、そろそろ文字の書物と同じような蓄積と相互引用性を保証する「奥付」データの統一様式を考えないとヤバい時期になっていると思う。文字の作法から離れた情報蓄積はそのままでは「歴史」につながりにくい。商業音楽の文化としての質を真剣に考えるならば、そのような作業も一方でやってゆかねばならないはずだ。