ホンカツから転載依頼(笑)

「拝啓、時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。さて、現在刊行準備中の本多勝一『貧困なる精神Y集』(毎日新聞社、94年4月刊行予定)に、先のあなた様との対談、あるいは座談会を収録させていただきたく、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。ご了承いただけましたら、お手数ですが折返し同封の葉書にてそのむねお知らせいただき、同時に転載料の振込先もご記入下さい。なお、転載料は一万円でご了承いただきたく、宜しくお願いいたします。

 何かと思や、忘れた頃にこんな手紙だ。ったく、よくもまぁのうのうとこんな極楽トンボなこと言ってよこせるもんだぜ、あの本多勝一のクソおやぢ。
 ……いかん、また脳天に血がのぼっちまう。ちとアタマを冷やそう。どうやら最近、確かに本多は天然記念物モンのアホだが、あそこまでしつこく食い下がるヤツもスッポン並みで性格悪い、てな話になりかかってることでもあるし。

 何にせよこのままでは返事のしようもないので、担当編集者だというS氏に電話を入れて事情を確かめたところ、テキは例のこっちの意図など平然と蹂躙してわがまま放題に手を入れまくった毎日新聞の掲載原稿をそのまま欲しいとぬかしている由。あ、そう、そういうことなわけね。

 なにせ小生、毎日新聞の図書編集部には、以前から約束している書きおろし原稿が足かけ四年かかってまだ脱稿できないという重〜い十字架も背負ってることだし、できれば協力したいのだけれども、ことこの一件だけはちょっくらちょいと譲るわけにゃいかない、申しわけないが勘弁して欲しい、という返事をして、S氏も快く了解してくれたのでありがたかったのだが、にしても、本多のこの厚顔無恥振りは不気味ですらある。それとも、人前にきちんと顔さらして仕事もできないような“ホンモノのジャーナリスト”とやらになるとそんな小さな都合悪いことをいちいち覚えてはいられない、ってことなんですかね。何にせよあッきれけぇったね、あたしゃ。