O-157騒動勃発

へえ、学校給食で食中毒か、夏場だからある程度はつきものみたいなものだけど、やっぱり生ものには気をつけないとなあ、と思った程度で最初はざっと読み飛ばしただけ、ごく小さなニュースだったのが、あれよあれよという間に大騒ぎになってしまった。言うまでもない、例の病原性大腸菌O-157の一件である。 正直言ってナメていた。いや、今でもタカをくくっているところがどこかである。これは家系的なものか、不肖大月、小さい頃から消化器系だけは強く、食い過ぎ飲み過ぎは別として下痢や腹痛といった症状とはほぼ無縁。数年前に潰瘍性大腸炎をやらかすまでは腹具合で悩むなんてことはなかった。三歳になる息子も生まれてこのかた下痢知らず。親子してピンと来ない。 もちろん、オリンピックで超ご多忙なはずのメディアが総がかりで危機を訴え、予防のための知識を提供しているのはありがたいし必要なことだ。にしても、やっぱり大腸菌ってのがいけねえ。軽い。どれだけヤバいのかが身にしみて伝わってこない。エイズ狂牛病ならいざ知らず、そこらのヨーグルトやヤクルトに入ってる乳酸菌やビフィズス菌の親戚みてえな野郎がなんでいきなりそこまで暴れ出しやがるんでえ、とわけのわからない文句のひとつも言いたくなる。つまり「死に至る病い」を担う役者としての重みにどうも欠けるのだ。

とは言え、こんなのは無事な人間の勝手な能書き。事実としてすでに死者が何人も出ていて、それも子供や老人といった体力的にハンデのありそうな人たちばかりでなく、いっちょまえの大人にまで被害が及び始めている。さらに、何だかよくわからないけれども発症して数日、病院にかつぎ込まれてから十数時間といった短い間に死んでしまったりする劇症例まで出てきているあたり、何やらかつての伝染病みたいな不気味さも伴い始めている。明治時代のコレラの流行なんてのも、最初はこんな感じで始まって徐々に社会的現象になっていったんだろうか。鶴亀鶴亀。

静かに考えれば、ニュースとして大きくなった理由としては学校給食という子供がらみの事態で、なおかつ感染源も感染経路もよくわからないというあたりになるのだろう。これが学校給食だけでなく、たとえばコンビニの弁当とか社員食堂の食材とかで起こり始めたら、さらに本格的なパニックになりかねない。いやあ、夏風邪がちょっと腹に来まして、なんて苦笑いしてすませていたものが、医者に駆け込んで検査してもらわないことには安心できない事態になる。ともあれ、いかに夏向きとは言え、レバ刺しやユッケ、バンバンジーといった類の食い物は当分ちと遠慮しといた方が良さそうだ。