中沢新一はA級思想戦犯である!

 『独立書評愚連隊』*1なんてやんちゃなタイトルの本を出たおかげで、かどうかはよくわかりませんが、ぜひ書評を、なんておっちょこちょいな依頼も最近また舞い込みます。先日は『論座』から何か、と言われて、じゃあ、最近気になってた中沢新一の『フィロソフィア・ヤポニカ』を、と応じてオッケーが出たので原稿入れたら、見事ボツになりました。理由っすか? のっけから「オウム事件のA級思想戦犯中沢新一、堂々の非転向宣言であります」ってやった、その「思想戦犯」って物言いがいけないんですと。それも、朝日新聞社的にこの物言いまずいんです、って言い方ならば、あたしゃいくらでも手直しするのに、初手から大文字の正義振りかざして「この戦犯って言い方は妥当でしょうか」とか、優等生ぶったしゃらくさい議論ふっかけてきやがるのも、てんで可愛くない。あんたら、政治家相手なら「バブルのA級戦犯」とかいくらでも言ってるじゃん。そのへん、どうよ。

  オウムの一件がらみでの中沢新一って、つまりは2・26の北一輝みたいなもの。なぜか島田裕巳なんてトロい方の宗教学者スケープゴートにされちまったけど、島田の本でオウムに入信したのはまずいなくても、中沢の本読んでオウムにハマったってやつはざらにいるはず。当人も当時はヤバいと思ったらしくて「ボクはこの件で『邪宗門』を書きます」なあんて殊勝なことまで言ってたのに、そのうちケロッと口ぬぐってブンガク界隈でなしくずしに復活、さらには愛知万博でまたぞろあこぎな稼ぎしてやがるんだから、いやあ、80年代ニューアカ仕込みの厚顔無恥ぶり、素晴らしいっす。ちなみに、愛知万博の広報誌『くくのち』って知ってます? いまどきまだこんなバブル丸出しな雑誌があるんかい、と眼からウロコがこそげ落ちるくらいのとんでもない物件でありますよ。

  中沢のこの『フィロソフィア・ヤポニカ』、戦前の京都学派の外れモン哲学者、田邊元をネタにしながら、実は未だにポストモダンな超越的なるものへの信心バリバリなあたりを臆面もなくさらした一冊、なんですが、シャクにさわることに作中、オウムのオの字も出てきやがらない。もともと連載していたのが『文藝』で、そうか、ボクって学者じゃないもん、ブンガクだもん、ってのを思想犯の言い訳にするつもりね、と思っていたら、このいまどきのブンガクの界隈ってのはどうなってるのか、この本が伊藤整文学賞を受賞、って報道を見て、あたしゃのけぞりましたね。津島祐子だの川村二郎だののお歴々が選評書いてたのは賞の勧進元の一環『北海道新聞』だったけど、いいんかあ、ほんとに。

  その『論座』のボツ原稿、見たいというシトは********@*****.comまでご一報を。あまり多数にならない限り、返送してご覧に入れます。というわけで、今月もちゃんとケンカ売ったぞ。

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独立書評愚連隊 天の巻

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