TV評・日本テレビ『恋のから騒ぎ』


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 素人をいじらせたら当代随一、ダウンタウンの一連の番組から『電波少年』シリーズで名を挙げた日テレ菅賢治プロデューサーの手間仕事だ。一八歳から三〇歳までの独身女性を一五人ばかり集めて、さんまがさばきつついじってゆくのを見せる、という趣向。

 ウリはまず、女性それぞれの「キャラ」だ。さんまが代弁するのは「オトコ」の立場。そういう意味でわがままないどきのオンナ、であるほど求められるキャラ立ちはいい。最近では山下と宝満のふたりが眼目。山下はいかにも生意気でプライド高そうなOLで、逆に宝満は天然ボケ系の関西ビンボーヅラ。共に目立ち具合では抜けていて「おいしい」キャラだ。

 この日のお題は「デート中にしてほしくないこと」。個々のネタは「大食い」「仕事のついでにデート」「長い買い物」「銀行でお金をおろす」「両手で腰に手をまわしてくっついて歩く」「他人のふり」の六本。三十分番組で本体のトーク部分の尺を長めにとっている構成とは言え、一本あたりは平均二分ほど。その中でどう語り手の「キャラ」を立たせて見世物にするか、が制作側の勝負どころですな。 

 テレビというメディアの見せ方を熟知したスタッフならではの番組だと思う。それはたとえば、NHK教育TVの意図せざる人気番組『真剣十代しゃべり場』などと見られ方は同じだが、決定的な違いは『しゃべり場』の制作スタッフ(外注らしいが)はまだ本気で、その本気具合とテレビ桟敷(この物言いももう古典だなあ)の視線とがまるで180度ズレちまってるがゆえの人気なのに対して、こちらは堂々の確信犯。視聴者の眼の批判力に対してこういう信用の仕方を示すのもいまどきのメディアの流儀だ。オトコ対オンナ、の図式に乗っているように見えて、懐はもっと深く広い。さんまのくどい仕切りもギリギリ許容範囲だ。


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*1:週刊ポスト』メディア評原稿