「マイナス投票」煽る「天声人語」(笑)

 田嶋落選&公選法違反疑惑、で何にせよめでたいこってすが。

 今朝の朝日新聞天声人語、こんなこと言ってたようです。短いんでそのまま引用しますね。あ、著作権がどうのなんて野暮は言わないように。

■《天声人語


 投票所は、異様な雰囲気に包まれていた。20XX年、選挙史上初めての「マイナス投票制度」が導入されたのだ。


 一票の使い道が激変した。当選させたくない候補に対して、マイナスの一票を投じることが認められた。プラスとマイナスの票を合算したのが最終得票となる。20世紀の末ごろから下がり続けた投票率は20%を切ることもしばしばだった。不投票に対して罰を用意している外国の例も検討されたが、生ぬるいと、この制度に踏み切った。


 こんなにも有権者は「マイナス投票」を待っていたかと驚くほど、投票所はにぎわい、迷子まででた。投票率は、軒並み前回の倍以上に跳ね上がった。


 喜びかけた選管を打ちのめしたのは、開票後の各地からの報告だった。圧倒的と見られていた候補にはマイナス票も集中し、差し引きで1千票ほどしか残らなかった。プラスの投票が極端に少なかった所では、マイナス1万票の知事が誕生した。


 昨日、現実の投票所の一つである東京の小学校では、満開の八重桜の下で淡々と投票が進んでいた。汗ばむほどの陽気のせいか、投票用紙に向かっていて、ふと「マイナス投票」を夢想した。


 選挙では、積極的に当選させたい人をというのではなく、「より悪くない人」を選ばざるを得ないこともある。度重なれば、足も遠のきがちになる。昨日の東京や神奈川の知事選のように、有権者の半数以下しか投票しないような選挙も増えた。もちろん、制度としての「マイナス投票」は劇薬だが、夢想した人も少なくはないのではないか。

 ネタか、と思ったら本当に載ってるんですよね、この記事(泣)。
http://www.asahi.com/paper/column.html

 石原、トリプルスコアの圧勝、田嶋も「予想外に」一位当選の松沢の半分の得票しかなく、長野じゃ田中康夫の応援した議員の風向きがこれまた「予想外に」芳しくない、てな今回の選挙結果に、この朝日新聞のエラい記者サンはいらだったらしい、ってのはわかるんですが。

 あたしが感慨深かったのは、実はこの「マイナス投票」、かの「落選運動」なんかとも発想はつながってるわけで、何よりこれまでも水面下じゃもう結構言われてきてることですけど、それをわざわざ朝日が取り上げた、ってことです。もちろん、素人の発想にすぎないっちゃすぎないんですが、他でもない、あたし自身ももう十年近く前から言ってたりするんですな、これが。あれは『正論』だったか、「制限選挙のすすめ」てなタイトルでこの「マイナス投票」の実現性を正面から論じたこともありましたし。

king-biscuit.hatenablog.com

 もちろん、この朝日の天声人語は、「マイナス投票」したら石原なんか圧勝するもんか、とか、おのれの都合のいいようにしか考えてないのは明らかで、そのへん風向き読めないのは相変わらずで笑うしかないんですが、ただ、「マイナス投票」を単なる「落選運動」としてでなく実効性を持ったものにするためには、たとえば「マイナス投票」の投票権を獲得するために何らかの資格を設定する、てな縛りをかけることで、ある程度実のあるものにできるんじゃないかなあ、とか思うんですよ。

 たとえば、普通の投票権を行使してきた実績に応じて「マイナス投票」の投票権を与える、とか、逆に普通の投票権も自由意志で放棄することができて、放棄した者は税制その他優遇されるかわりに社会保障なんかが一部制限される、とか、ある種のシミュレーション、いまどきのニッポンにおける実質的な「市民権」とは果たしてどういうものよ、てな文脈で、いろいろ考えてゆくことができるんじゃないでしょうかねえ。少なくとも、何でもなんでも投票率上げることが民主主義の実現だ、てな風潮に一石を投じる意味では、考えてみる価値はあるだろうと思いますね。

 「マイナス投票」を行使したければ、普通の選挙権もマジメに行使しときなさいよ、と。そのためにはちゃんと政治を観察、ウォッチしておきなさいよ、ということですけど。いまどき昔のように納税額で選挙権制限するのは意味ないでしょうし、といって、資格試験なんてのも大変。となると、うっかり投票率が高くならないいまの状況だからこそ、ある種セキュリティがかかって「民主主義」が実現されている、てなところもあるんじゃないかと、あたしゃずっと思ってます。無責任だけど、でも観客としてのリテラシーは確実にあがっている――置いてかれてるのは未だに特権にあぐらをかいてるマスコミとか、学校とか、そういう「知性」や「教養」の牙城ということにされてきた場所(実はもうとっくに廃墟なんですが)にいる連中だけ、てな状況はますます煮詰まってきているようです。

 それにしても、「若い人が投票に来てくれなかったから負けた」(大意)てな妄言を平気で吐く田嶋陽子センセって、ほんとに信じられないくらいバカ、ですねえ。あと、中間では「こんなに有権者の反応がいい選挙は初めて」てなことを言ってた選挙参謀だかなんだかも。


● 今週から『週刊朝日』で、地方競馬関連の短期連載が始まります。今日は午後、その関係で橋本聖子参議院議員にインタビューに出かけます(笑)。明日は、これまた今年度途中での開催中止が懸念される山形県上山競馬場に出張れたら出張ろうかな、と。

 ネットラジオの件、システム構築その他の関係もあって、前回お知らせしたような今月末のスタートはちと難しいかも、のようですが、それでも何か仕掛けるつもりですので、お楽しみに。