まさにサムライブルー=サムライの憂鬱、です。ワールドカップ日本代表大苦戦。スポーツはスポーツの論理できちんと語られるべきでしょうから、岡目八目は申しません。ただ、あたしなりに気になっていることをひとつ。サッカーであれ何であれ、広告代理店がらみでメディアまるごと懸命に人気を煽って盛り上げる、そういうやり方そのものがもしかしたら、このニッポンではもう効きが悪くなってしまっているかも、という懸念です。
Jリーグ創設時の大騒ぎを思い出します。バブル期の余熱を引きずりながらあれだけのカネと情報を投入したからこそ、日本サッカーは短期間にそれなりの成果をあげてきた、それは認めます。ビジネスが「質」を後押しした。けれども、問題は「そこから先」です。Jリーグの動員数は減少続きで、代表チームがらみで盛り上がるだけ。競馬も同じで、逸材ディープインパクトを前代未聞の取り上げ方で煽ったものの、JRAの売り上げの低下は一向に歯止めがかからない。そうそう、韓流ブーム、もありました。韓国製ドラマや映画とその俳優に熱狂するオバサンたち、という構図でしたが、一気にそれもさめました。NHKなどは未だに輸入にやっきで、なるほどそれなりの需要はまだあるようですが、にしても、むりやり煽ってやがるよなあ、という感覚もまた同時に根深く広まりました。でも、そのことに当の広告代理店やメディアは驚くほど鈍感なまま。
笛吹けど踊らず、ではなく、踊ってはくれるけれどもただそれだけ、という虚しさ。スポーツ、芸能とジャンルは異なれど、いずれメディアがらみのビジネスの大きさと、そこにはらまれる「質」の論理とがどこかでどんどん乖離してゆくことでもたらされる「文明の衰退」。そんな不安がぬぐえないのは、このあたしだけでしょうか。