亀田祭りにコメンテーター乞食

 亀田祭り、結構えらい騒ぎになっています。

 っていうか、ネット経由でうっかりと批評力のあがってしまったいまどきの世間の煽りに後押しされて、ワイドショー系マスコミが意外に引っ張りまくってる、って感じでしょうか。【サイバッチ!】大本営も今回、結構しつこく取材を続けているようで、何かわかり次第またウラ取りなしで速報出しまくるんでないかと思いますが、ま、それはそれとして。

 今回の茶番劇、まず何よりもいけないのは見世物としてデキが悪すぎる、ってことです。うわあ、興行を仕切る側のウデが落ちてるよなあ、というのが、あたしの第一印象。それって、はっきり言っていわゆるヤクザ(香具師系、ですが)の伝統的な技術の棚落ちなわけで、ニッポンのものづくりの伝統がどうのこうの、ってのは最近よく言われるもの言いですが、ある意味それと同じで、クロウトの仕切る興行もの、芸能ネタがここまであからさまに世間の側から指弾されるようになっちまった、ってこと自体、なんだか感慨深いものがあります。

 なにせボクシングです。協栄ジムです。金平です。筋弛緩剤を注射したオレンジを対戦相手に送りつけるようなことを平気でやらかすような勧進元です。ボクシングをめぐるこの手の疑惑の判定というのなら、これまでだって鬼塚とかいろいろあった。何もふだんボクシングに人並みの関心しかないあたしでも、それくらいのことは何となく記憶にあります。問題は、これまでと同じ手口をやってきても、それをもう世間の側がそのまま許してくれなくなってしまった、まずその点でしょう。

 言うまでもなく、ネットの普及が大きい。同時に、テレビ放送をそのままデジタル化して録画できる環境の普及も。キャプチャーした動画をそのまま何度も再生して検証、それをまたネットに放流して、という風に、世間の側の「批評」「批判」のサイクルはたとえば十年前と比べても、おそらく飛躍的に濃密になっています。もっとも素朴には単なる流言飛語、うわさの類で広まってゆくに過ぎなかったそういう情報が、ネット環境の組み込まれた今の状況では、高速かつ高密度に還流されるようになっている。人々の意識も含めて形成される「世間」というものも、これまでとは違うものになってきています。これってある意味じゃ近代の煮詰まった果てに、なんというか、中世みたいな〈リアル〉が同時にくっきりと浮かび上がり始めているところもあるなあ、と、このへんは民俗学者としての能書きなんで聞き流してくださいまし。

 亀田自身はあれ、彼なりに一生懸命やってると思います。1Rでダウンして、それでも最終ラウンドまで立っていたのは頑張ったと思いますし、なんだかんだ言われてもまだ一九歳のガキ。あそこまでメディアと世間にもみくちゃにされながら、精一杯のことはやっているなあ、と。いけないのはそれを持ってまわるまわりのオトナ、クロウトの側が、商品としての彼を守り切れていないということ。そのへんの目算のなさです。

 まあ、あれです。こんなものはっきり言って、●タと●ョンコの最凶コンボ。後援会に平沢勝栄がからんでいたり、環境省小池百合子新生党時代から広告代理店系とズブズブ、が公然と協栄ジム通いを表明、どういう引きか知りませんがなんとお役所のキャンペーンキャラクターにまで起用したり、とまあ、勘ぐればいくらでも「半島」利権とのあれこれが推測できるシフトががっちり固められている。スポンサーのパチンコ屋にしたところで、格闘技系含めてこの手の興行ものではお約束とは言うものの、なにしろ半島情勢がこうなっている現在、彼らのカネの持ってゆきようがなくなっているって事情もありそうです。こちとらの現場の競馬でも、ブッシュがマカオにある金正日の隠し口座を凍結して以来、「半島」系、特に北とつながりの深いパチンコ系馬主がいくつかパンクしたり、パチンコ台メーカーに続いて大手パーラーチェーンも株式上場して、税金おさめても何とか商売を続けようとしていたのにそれが瀬戸際で頓挫したり、と、まあ、目を凝らせばいろいろと興味深いできごともちらほらとある昨今。総務省からマスコミ浄化の被害担当艦になっているTBSが、今回あそこまでなりふり構わず亀田の興行に肩入れしているのも、そのへんと無関係とは思えません。

 ついでに、勝谷誠彦やらやくみつるやら、いまどきのワイドショー賤民、コメンテーター乞食たちが、何やら居丈高に今回の亀田の興行を批判していますが、こいつら自分の世渡りに影響あるようなことを絶対に言ったりやったりするわけない。勝谷なんかあなた、しょせん「吉本文化人」(小田島隆の名言)じゃないのよ。吉本興行という後ろ盾とのバランスで立ち回ってるだけのバカが、一見、TBSと「半島」系商売を全部敵にまわすような真似をするってことは、それなりの保険というか、絶対これは大丈夫、って保証があるからに決まってます。それをまあ、言うにこと欠いて「亀田と勝負させろ」だそうで。いや、ほんとに漢(笑)らしいこってやくみつるの方はさっそく亀田オヤジと対決したようですが、この際勝谷の方も、朝生でも何でもいいから、ぜひともそういう見世物をどこかでやってもらいたいものであります。

●編集後記
 亀田祭りでくすんじまいましたが、極楽山本の淫行騒動とそれに続く欽ちゃん球団のすったもんだも、ある意味この亀田の興行と同じ流れにあるのかなあ、と思います。スポーツと芸能の境界線というか、興行とカネのからむ〈リアル〉の領域の現在、ってことで。もっと広げればサッカーや野球(巨人、ほんとにもうダメですね、あれは)、さらにはバレーボールや卓球、水泳、さらにはF1なんかに至るまで、メディアと代理店とカネのからむそれらスポーツ系興行のありようってやつをひっくるめて考えるいい素材だなあ、と。


 その意味で今回、定番のコメンテーター乞食連中もですが、スポーツライター系もかなりバカさらしてるような。要するに、二宮清純とかあのテの連中ですね。おまえいつからボクシングにコメントできるような立場になったんだ、と小一時間(以下略)。まあ、金子達仁だってあれ確か、競馬やらF1やらわたりあるいてサッカーに行き着いたはずですし、そういうカネの流れのつくる土俵に乗っかって世渡りしてきている連中のなりわいそのものもまた、いまの情報環境でうっかりと正体がバレ始めている、って印象です。もちろん、基本的にはいいこと、だと思いますがね。


 ちなみに、協栄ジム、で検索かけると、公認ダイエットスーツの情報ばかりがズラズラズラ……商売の方は、なかなかしぶといようです。あと、これはあまり取り上げられてないようですが、今回のことを批判した具志堅用高に逆ギレしたのか、彼のジムと「絶交」宣言しちまったようですね。ダイエットスーツの販促に具志堅の名前、確か出てたんじゃなかったっけ……