亀田興毅の「営業」

 もとは相撲界の隠語のひとつ、だったとか。いや、「八百長」の話なんですが。

 土俵とは関係なくて、タニマチのひとり八百屋の長兵衛さんが、碁仲間の年寄りの機嫌をとるためによく負けてやってた、それが発端だそうで。まあ、まわりが見てもバレるくらいだったのでしょう。今なら接待麻雀ならぬ接待碁ってことでしょうか。江戸時代の話です。

 今も、接待スポーツってのはあります。プロなら半ば仕事のうち。贔屓やタニマチ、後援会のご機嫌をとり結ぶ、つまりは「営業」。稼業としてのスポーツを成り立たせる上では大切な業務です。とは言え、本業でいい仕事をしていなければ、ろくな「営業」もあり得ない。先日、函館で未成年の少女をかどわかしたと訴えられたお笑い野球芸人などもそのクチでしたが、仕事で一流だからこそ「営業」もまた成り立つわけで、逆はあり得ないのがプロの世界。これはスポーツに限らず、どんな仕事でもそうでしょう。

 というわけで、亀田興毅選手のボクシング世界戦。スポーツと興行、芸能とのあやしくもステキな境目がいまどきどうなってるのかについて考えてさせてくれる、格好の素材になりました。ボクシングなんて普段は見向きもしないような人たちが客席に目立ったのは、「韓流」ブームと似てるような気も。次の「営業」は大晦日の予定とか。いまや環境省ご用達タレントでもある亀田選手、本業をさらに精進しないと「営業」にもいらぬ影がまたさしますよ。