改めて、くたばれ地全協!

 ライブドア堀江社長以下、幹部複数名が逮捕されました。世間はそのニュース一色になっていますから、いまさら改めて言うことでもないでしょうが、競馬の世界でもライブドアは決して無関係ではなかったので気にされている向きもあるでしょう。

 確認しておきますが、こと競馬に関して、ライブドアは特に問題となるようなことはしてこなかった。結果的に、地方競馬へのIT系企業の参入はソフトバンク楽天が「勝ち組」になりつつあるようですが、農水省以下、競馬を統括する立場のエスタブリッシュメントの空気としては、当時から「理屈ではない、とにかくライブドアだけはダメだ」という結果ありきの対応だったことは、ひとつはっきり言っておきたいと思います。

 地全協あたりが「ライブドアは大人の対応をしてこなかった、それに引き換えソフトバンクは……」といったコメントを出しているようですが、ちゃんちゃらおかしい。ライブドアがNRSをそっくり買い取りたいと申し出た時も、およそ不誠実な対応でまともな交渉のテーブルにもつかずに門前払い食わせたのは他でもない地全協でしたし、あげく、傘下のNRSの抱えているD-netは、結局自分たちではもうどうにもならなくなり、昨年暮れも押し詰まってからバタバタと同じIT系企業のソフトバンクに捨て値で叩き売る始末。まあ、競馬法改正の流れの中で事実上「解体」を宣言され、とにかく、ここはもう場間場外発売を仲介するコミッションだけ確保して何とかNRSにたてこもろう、といった戦略なのでしょうが、この馬券のネット発売の展開にせよ、はたまた笛吹けど一向に進展しない新たな場外発売所の募集にせよ、言わば過去の経歴ばかりベタベタくっつけた予備役の将校ばかりで実質働ける有能な兵隊も下士官も不足しているいびつな組織が殿様商売、役人仕事にあぐらをかいてるのを見抜かれて、民間からそっぽを向かれているのがまだわからないのでしょうか。実際、d−netにしても、ソフトバンクに移管したことで手数料の事実上の上乗せを打ち出す始末で、さすがに鈍感な地方競馬主催者の間からも、この生きるか死ぬかの状況でそんなものにのんきにつきあってられるか、という動きも出始め、なにもNRSなど介さなくても自前で相互に場外展開をしてゆく可能性さえ模索し始めています。そのような「脱」地全協の自立の動きは今後さらに強まるでしょうし、僕としても全力で応援したいと思っています。

 一昨年の秋の段階で、群馬県の一方的な判断で「廃止」確定まで追いつめられていた高崎などは、ライブドアに頼る以外、現場の関係者にとって選択肢はなかった。あるいはその後業務提携を発表した高知にせよ、その他水面下も含めて接触を続けていた笠松や名古屋にせよ、いまの地方競馬の置かれている状況で、もしもまだ本気で存続を考える関係者ならば、たとえ悪魔とでも手を組むわ、というのが本音でしょう。少なくとも、どんなに危機的な状況に陥っていてもまともに手助けもせず、法改正含めて今、ニッポン競馬のまわりで何が起こっているのかさえも教えてもくれない地全協などに頼るより百倍まし、と考えるのは当然のなりゆき。いまになってさも今回の展開を予見していたかのように、当初からライブドアはあやしいと思っていた、と後出しジャンケンよろしく偉そうに能書きを垂れる口ぶりには、心底あきれるやら腹が立つやら。「上」が頼りにならないのなら多少あぶなそうな方面にも庇護を頼まざるを得ない、そんな気分が関係者に蔓延し始めていること、何より、どうしてそこまで現場の関係者を追いつめたのか、を、地全協以下、競馬エスタブリッシュメントたちはまじめに反省するべきです。

 もうひとつ、腹の立つことを。アラブ100%で番組を組んできていた福山が昨年十一月から、サラブレッド導入を始めたことはすでにお知らせしました。そんな中、北海道で認定競走を勝った経歴を持つ馬も福山に入厩していますが、その認定勝ちの権利を活用して福山からJRAのレースに出走しようとしたところやんわり拒否された、というのです。その理由は、福山さんはサラを入れて間もないし、認定競走自体もまだ導入していないので実績がないから、だとか。認定勝ちの権利は馬についてくるわけで、その馬がたまたま福山に入厩していたら権利行使が停止されるなんて、どう考えても理屈にあわない。現状で、福山には認定勝ちの馬は四頭ばかり在籍しているようですが、馬に罪はありません。また、せっかく中央に挑戦できる道が開かれて勇躍していた調教師や騎手たちの心情を思えば、あまりに不人情です。何もこれだけではない、地方競馬がらみでひと山いくらで起こっているこういう理不尽な問題は、もっともっと表に出して、広く議論を喚起してゆくのが筋だと思います。