シナから学ぶ恥知らず

 

 シナがえらいことになっています。例の毒入り冷凍ギョウザ事件? いやいや、そんなのはまだ序の口で、夏の五輪を控えたこのタイミングでチベットでの人権蹂躙、軍による弾圧をやらかしちまって、しかもその後、お約束で開き直って何とかなると思っているから、さすがは資本主義の皮をかぶった社会主義国、なんちゃって国際化でにわか成金に奔走している中華帝国。素直に脱帽です。

 国内マスコミの多くがこの件について、かの毒ギョウザほどの情熱で報道していないのは、別に今さら驚きゃしませんが、素朴にわからないのは、今やその気になれば海外メディアも容易に参観できるのがネット普及以降の昨今の情報環境、CNNだのBBCだの、欧米のマスコミはさすがに思いっきりメインイシューとしてこの騒動を報道していることを、多くの日本人が思いっきり知っているのに、相も変わらずいつものように世間を見下したワイドショー系バカ騒ぎしかやらかしていないマスコミ方面、ほんとに事態の重要性をわかってるんでしょうか。

 改めて言うまでもなく、これって「人権」問題ですよね? マスコミ的には大好物の話題ですよね? 女性の、弱者の、子どもの、在日の「人権」をやかましく言い立てるのと同じように、そしてあの北朝鮮に正義ヅラして言いつのるのとも全く同じように、今回この中国にも、クレームをつけなければ嘘ですよね?

 人権擁護に民族自決、自主独立の気概をむりやり弾圧されているチベットの人たち――ほら、立派に「正義」じゃないですか。聞けばもう半世紀も前から中国政府はチベットを武力でとりこみ、道路や鉄道その他、インフラ整備して「豊か」にしてやったんだから文句ないだろ、と言いつつ、漢民族ばかり潤う構造を作り出している由。あれ? これってマスコミ方面の口癖の「植民地主義」ってやつじゃ……かつて日本が朝鮮半島にやらかしたという政策とうり二つのように見えるんですけど、違います?

 二枚舌というのはこういうことです。いや、百歩譲って二枚舌でも三枚舌でも構わない。そうそうタテマエだけで世の中生きてゆけないくらいのこともまた、世間の多くは知っている。ただ、同じ二枚舌でもそれを演じきる器量、才能ってやつもあるわけで、メディアの舞台で偉そうにコメントしているあのセンセイ、この評論家のどいつもこいつも、おのれがそんな二枚舌の最前線でツラさらしてもの申していることについての自覚ってやつが微塵も感じられない。 恥知らずというのはこういうことです。恥を知りつつ二枚舌を演じてみせようという気概くらいは、とりあえず持とうとしてもらいたい。われらが日本のマスコミに今、最低限望むことは、せいぜいそれくらいのささやかさ、でしかありません。