全馬連の「品格」(笑)

 昨今、馬主というのはどこも大変である。JRAでも苦しいのに、賞金がどこも下がり続けている地方競馬では言うに及ばず。優等生の大井も一着100万円を切ったし、それ以外の地方では来年度はどこも一着20万円以下になりそうで、「日本で一番安い」高知競馬の一着9万円にどんどん迫る勢い。当然、馬主経済などとっくに成り立っていないわけで、状況が好転する気配のないまま、各地の馬主会も悲鳴をあげている。
 その各地の馬主会(現在14会員)が連携した形の、全国公営競馬馬主連合会という組織がある。俗に「ぜんばれん」。厩舎はもとより、各主催者にとっても最大の“旦那衆”のひとつだ。ちなみにJRAの「日本馬主協会連合会」とは別組織。

 「もともと、地方が儲かっている時に、各地の馬主会が“上納金”を出し合って成り立っていた組織ですから、今みたいに競馬が低迷すると苦しくなるのは道理。そのへんは主催者の上に立つ特殊法人、地全協(地方競馬全国協会…NAR)と同じ構造ですが、ただ、全馬連の方は“圧力団体”としては最近まで健在だったんです」(ある競馬記者)

 だが、ここに来て、さすがの全馬連も内部で不協和音が激しいようだ。長年続いた経理の不明朗さが突き上げられ、担当者が辞める騒ぎにまで。会長のA池氏は、もと新潟県馬主会の大立者。かつて三条競馬があった頃は地元で威勢並ぶ者なく、またそれ以外でも上山(山形)や福山(広島)など、アラブが盛んだった地域で特に影響力が強かった。

「補助馬(抽選馬)制度があったからですよ。生産地と馬主会の間に立ってJRAからのアラブ助成金をいい具合に……いや、それ以上は勘弁してください」(ある生産者)

 高齢ながら未だ退く気配もなかったのだが、ようやく離反が始まった気配。

「そりゃそうですよ。会長以下、幹部でももうほとんど馬を持っていない人が多くなってるのに、昔と同じように威張るだけ威張るんですから。先日も日高で『アラブさよならパーティー』なんてやってましたが、呼びつけられた方はみんなしらけきってましたよ」(ある厩舎関係者)

 競馬が社会の信頼を獲得するために、“出資者”としての馬主の「品格」が問われているのはJRAも同じこと。「改革」はこんなところにも必要らしい。