グルジア大変

 ペテ…あ、いや、ペキンオリンピック報道のから騒ぎにかき消されてほとんど表に出てないようですが、グルジアがえらいことになっているようです。ロシアとほぼ戦争状態とか。何もその道のプロでなくても、いまどきの情報環境を介して伝わってくる断片からだけでも、何が起こっているのか、シロウトなりにおよその推測はできます。プーチンなんて、今様ロシア皇帝みたいなもんでしょ、あれ。革命以来一世紀、すったもんだの後、ひとめぐりして結局もとの帝政ロシアに落ち着いたようなもんで。

 冷戦構造下での「超大国」というまとまり自体が、自重で支えきれなくなって分裂解体の過程に入っています。当座、旧東側で顕著ですが、文明史的な間尺で見ればアメリカとて同様なわけで。なるほど、図体でかすぎ身動きとれず、というのは今世紀に入ってから世界共通。「領土」とか「国境」の枠組みが相対的に意味を失い溶解してゆく(かに見える)過程と、それに応じて増幅される「ナショナリズム」とのコンボで、20世紀的な「政治」「経済」「軍事」など「近代」硬派と目されてきた制度維持装置群がどのように変わらざるを得なくなっているのか、そのへんの洞察力が指導者には強く求められる時代です。

 なのに、われらが政府はというと、そもそもどっちを向いているのかさえ意味不明なていたらく。なにせ「相手のいやがることはしない」ですから。でもって、「安心実現内閣」ですから。竹島対馬も毒入りギョウザも拉致問題外国人労働者も公務員改革も、何もかも判断停止で先送り。それでいて「国民目線」と平然とのたまう神経。もはや異国人です。お願いですから、せめて「国益」とは何か、誰に選ばれて永田町にいるのか、それだけはきちんと認識しておいていただきたいものであります。