CD市場、退潮の気配

SWEET 19 BLUES

SWEET 19 BLUES

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 この不景気な時代にわが世の春を謳歌しているかに思われている音楽CDの売り上げだが、どうやらこれがひと頃に比べて落ち込み始めたという噂が飛び交うようになっている。

 「アムラー」という流行語まで生み出すほど、ファッションなども含めた総合的な影響力をティーンエイジャーに持っているとされる安室奈美恵のアルバム『SWEET 19 BLUES』が、巷間言われていた四〇〇万枚以上といった記録的枚数に遠く及ばず、実売はせいぜい二〇〇万枚といったところだったらしいという話に始まって、以前ならば軽く百万枚を超えるようになっていたシングルCDのヒットにしても最近はせいぜい五十万枚程度でとどまり始めているとか。実際の数字の詳細は企業秘密のところもあるのだろうが、しかし、CDを始めとした商品音楽市場にも実は言われるほどの勢いはすでになくなっているのかも知れない、という疑心暗鬼が業界の周辺には漂い始めている。

 欲しいCDは消費者がひと通り持ってしまったということもあるだろうし、また、MDなど新しいメディアが出始めているハードの移行期という事情もあるだろう。にしても、消費の振幅が激しくなっている分、消耗するサイクルも加速しているわけで、ますますと
らえどころのなくなった市場の動向をめぐってこれから試行錯誤が続くのだろう。歌は世につれ、などといった悠長な見方など、根底から揺さぶられていることは間違いない。