宗教学者と破防法の関係

 昨今袋叩きにあっている宗教学者島田裕巳センセイとは小生、多少顔見知りの間柄であります。だもんで、この四面楚歌に関しては個人的にはお気の毒とは思うが、しかし、弁護するつもりは全くない。いや、良くも悪くも学者らしい、実にやんごとないお人柄で、あれじゃ別にオウムでなくてもそこらの女子大生にだってイチコロでだまされるんじゃないかと思うが、でも、いくら学者だからって研究室から出て生ものの現実と取っ組み合うには今どきあまりにスッポンポン、おのれの立場に無自覚すぎらあ。そこらへんの無防備さについては、この際ちっとは身にしみてもらわないと、と思う。冷たいようだが自業自得ですぜ。

 にしても、その袋叩きが何やら魔女狩りの様相を呈していることについては、それとは別に、ちと釈然としない。

 ことにわからないのは、今やずっとワイドショーに陣取り、オウムがらみはもとより、どうかするとオウムと全く関係ない芸能ネタなどにまでコメントするようになったオウム対策弁護団やらジャーナリストやら、俗に言う“オウム・ウォッチャー”の方々である。 いや、そりゃエラいよ。坂本弁護士事件以来、まさかオウムがあんなことになってるとは誰も予測だにしなかった時から独自の調査を地道に続け、公安警察を上回る捜査力を持った瞬間もあったわけで、その努力と成果については深く敬意を表する。しかも今や大詰め間近。イケイケドンドンに盛り上がるのもわかる。

 しかし、その今や何言っても圧勝の立場の方々が、たとえ善意であれ「こんな人を教授にするなんて、一体どういう大学なんでしょうか」てな調子で「正義」を背負ったもの言いを今どきのワイドショーの舞台でした日には、ただでさえ人気商売、しかも昨今その先行きも怪しい私立の女子大の理事会が震え上がるのも道理。実際、これまで島田センセイがいくら袋叩きでも見て見ぬふりしていたのを、ここにきてあわてて「大学の名誉を著しく傷つけた」と自宅待機から休職処分を出したのも、そんな今どきのワイドショーの「正義」が妙なところで作用してたんじゃないか。

 ああ、おっかねえおっかねえ。ワイドショーの「正義」を後ろだてに善意で君臨する、これじゃまるで憲兵だわ。宗教団体相手に喧嘩するのも剣呑だけど、弁護士敵に回すのも根性いるってことか。

 え? そんなことより破防法の適用か、それとも宗教法人法の改正か、の方が重要だって? んなもん決まってらあ。どっちも、だよ、どっちも。あれが対象にならないのなら、一体どれだけのことすりゃ破防法になるんだ? 同時に、宗教法人法もこの際きっちり改正するべきでさ。どだい、テンビンにかけるようなこっちゃないだろって。