「おとな」の土俵で「子ども」をやるんだよ

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 えー、まずは読者の皆様に業務連絡とご挨拶。

 ご愛読いただきましたこの「ちょこざいなり!」、次号でお別れだそうであります。いや、なにね、編集長交代に伴う誌面刷新ってこったそうで。ついこの間、頑張れ『サンデー毎日』、なんて呑気なエール送ってたら、だったらいらねえのはおめえだよ、って言われちまったってお粗末。ったく、シャレになんねえ。

 いいや、だったらそれはそれ。残り二回は景気づけ、これまで多少は手加減してきたあたりの話をパーッと気前よくお蔵出しといきましょうか。ボツにすんなよ、担当H。


 某出版社系週刊誌のお話。ライバル誌がSMAPがらみの記事でトラブってるのに対して、こちらはすでにジャニーズ事務所とナシつけてあって、ヤバそうな記事は絶対に載せない代わり、取材その他には便宜をどうかよろしく、へっへっへっ、てなことになってるとか。じゃあ何かい、もしも現場がどうしても書きたいネタがあっても、ジャニーズ事務所がらみは絶対に書けないってことかよ、と尋ねたら、そりゃそうっすよ、と二十代の編集者は平然。もしもそれでも書いちまったら、とたたみかけたら、まあ、うちの役員の首が数人分は飛ぶでしょうね、と、うすら笑い。

 あのさあ、俺やっぱ好きくないんよ、こういうの。

 大人の商売ってそういうものなんだろうけど、でもさあ、週刊誌稼業なんてしょせんロクでなし、それを敢えてとっぱずしてみせる心意気ってのも本来あったんじゃなかったっけ。今どきそんなの流行りませんよ、と、こやつたしなめにかかりやがったが、てやんでえ、ちょこざいなことぬかすんじゃねえや、だ。単なる無茶や掟破りじゃない、敢えてそうすることで開かれる現実の風通しの良さまで見通しながら、そのテの「大人の商売」をとっぱずしてみせるのも、こういう稼業の芸のうちだろうが! そういう身にもつかない「大人」ぶりっこのうすら笑いでこなしてゆく仕事は、「商売」本来の健康さをますます薄汚れた卑しいものにしてゆくんだぜ。山一の顛末、見てたろ?

 近頃、いい若い衆のくせして、わかったふりしてオヤジに迎合的な能書き並べて世渡りするこういう手合いがほんっとに多くなってきた。おめえ、それほんとに腹の底から思ってることかよっ、と胸ぐらつかんで問いつめたくなる調子こいたもの言いの垂れ流し。ああ、胸が悪くならあ。

 言っとくよ。そういう適当な「大人」ぶりっこでナメたちょっかい出してきやがると、大怪我するぜ。こっちは腹くくった「大人」の土俵で「子ども」やってのけるつもりだかんね。「子ども」が調子こいて「大人」のふりしてやがるのと、もはや「大人」でしかないのが本気で「子ども」やらかすのと、どっちがほんとに世間から信頼されるに足る言葉をつむぎ出せるのか、及ばずながら勝負させてもらうかんね。たとえ勝てなくても、絶対負けねえよ、俺。

*1:サンデー毎日』「ちょこざいなり!」連載原稿