メイセイオペラ、帝王賞


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 うひゃひゃひゃひゃ、強え強え。

 メイセイオペラであります。帝王賞であります。指定交流重賞GⅠであります。大井のダート10ハロンであります。過酷であります。でもってあなた、それを直線ひとしごきで四馬身からぶっちぎったのは正真正銘の地方育ち、この岩手の英雄であります。一月に、府中のフェブラリーSで見事中央でのGⅠをかっさらって以来の交流GⅠ連覇。いやもう、ここでもまだ格が違うわい、という勝ちっぷりでした。

 レースは、的場文ゴールドヘッドと石崎のサプライズパワーとが逃げ合戦を打つというとんでもなく贅沢な展開。その三番手にメイセイオペラは大名マークで、初手からこの三頭の一騎討ちは誰の眼にも明らかでした。道中ペースはそんなに速くもなかったはずですが、エムアイブランタイキシャーロックオースミジェットスノーエンデバーといった中央からの遠征馬たちは追走がやっとという印象。いや、いくら地方競馬ったって、このバリバリの超A級馬同士の競馬となると、数字に現われないところでのキツさというのが如実にあるものらしくて、それが証拠にこの間までかなりの強さを見せて連勝もしてきたリンドダルタニアンあたりでは、ほとんど道中ついていけないような有様でした。

 鞍上菅原勲の名前もこれで完全に全国区。地元のろくでなしにとっては「そんなもん、当たり前だわ」でしょうが、園田の小牧太や道営の千葉津代士などと並んで、もっともっと全国にその腕を知られていい男前です。地方のそれも遠征騎手にはまずあり得ない「イサオコール」まで巻き起こり、さらにこの日、岩手の場外にはなんと二万人からが押し寄せて全体の売り上げも三割がた上がったといいますから、うん、まだまだ地方競馬だって大丈夫大丈夫。馬券もワイドなんか、こんなについちゃうの、というぐらいおいしい配当で、その他馬単でも馬複でも、オペラから二点勝負ぐらいで大楽勝という人も多かったんじゃないでしょうか。

 こうなると、つくづくアブクマポーロの戦線離脱が惜しまれます。馬房内で換気扇だか通風孔だかにトモ脚を突っ込んでの故障とか。メイセイオペラも以前、馬房で立ち上がったかで頭蓋骨骨折の大怪我をしてます。ほんと、競走馬ってのは猛獣ですわな。まして、厩舎の中では何が起こるかわからない。かつてはかの女傑ロジータも馬房の中で大暴れしていたと聞いてます。今回、アブクマが無事に出走していたら、間違いなくオペラとのがっぷり四つの競馬になっていたはずで、どうかしたら三角過ぎあたりからぶっちぎりのマッチレースになっていたんじゃないか、とさえ思います。ああ、残念無念。くやしいです。 そのかわり、と言っちゃなんですが、今週は阪神競馬場でうまくいけば豪華な一騎討ちが見られるかも知れません。第四〇回を迎える宝塚記念であります。

 今や外国産馬が山ほど増えた中央競馬ですが、ダービーや天皇賞内国産馬との力比べがかなえられない以上、有馬記念宝塚記念がその大舞台になりました。人気投票で出走馬が決まるこのふたつのレース、その意味ではこれまで以上に純粋に競馬好きの興味をかき立ててくれるものになっています。内国産馬保護の一線は絶対に譲れない小生でも、その興味はまた別ものです。

 まあ、常識的にはスペシャルウィークで頭鉄板、どこをどうつついても死角はなさそうであります。今年になってから三連勝。どれも全くあぶなげないレースっぷりで、完璧にひと皮むけた感じです。さっきのメイセイオペラじゃないけれど、ここでもまだ格が違う、というところを見せてくれる可能性すらある。先の天皇賞では、スペシャルウィークメジロブライトの馬券に「ここが命の捨てどころ」とばかりに大金をブチ込んだクロウト筋がたくさんいたそうですが、ここももしかしたら、もういっちょ大勝負と鵜の眼鷹の眼のろくでなしたちが狙ってそうです。

 ただねえ、相手はどうなんでしょうか。天皇賞ほど絞り込めはしないような気がします。おそらくグラスワンダーが対抗人気になるんでしょうけど、この馬、前走安田記念(2着)のレースっぷりがいささか物足りなかった。有馬記念みたいに穴人気くらいで気楽に乗れるならまだしも、看板人気背負ってきちんとマッチレースできるようにまではまだ力がついていないんじゃないかなあ。それだったら、同じく安田記念でまるで競馬にならなかったキングヘイローが、今回はおそらく気楽に乗れる分、一発を期待できますし、勢いに加えて展開的にも多少は利のありそうなスエヒロコマンダーあたりも狙いめでしょう。あと、唯一の四歳馬にして皐月賞二着、ダービー四着のオースミブライトも、今年の四歳は強いと踏んでヒモ穴なら色気出してもバチ当たらないかも。

 え、ステイゴールド? こうなりゃ意地です。単勝、買うたりますがな。