【草稿】「女性がつくった男性商品」座談会

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 大月 おはようございます。大月です。
 きょうは、女性の立場から見た男性商品ということで、全然業種もあれも違う、どうしてこんなにばらばらなんだって、おれ、言ったんだけれども、まあ、皆さんも、全然、それぞれお立場は違うでしょうから、その辺を含めて、ご自身の体験談を含めて、きょうはお伺いできればと思うんですけれども。
 とりあえず、自己紹介というのもあれですけれども、お話をちょっと聞きながら、それぞれのプロフィールみたいなものをお伺いしますけれども。
 江部さんですよね。85年入社、もう絵にかいたようなバブル世代じゃないですか。
 江部 いえ、違います、バブルの前で。
 大月 雇均法の後にはなります?
 江部 ちょうど均等法の前年なんです、私の次の年からそうなので、全然バブルの前ですし、女性の採用はまだまだ非常に少ないときです。
 大月 バブル世代というと、もうちょっと後になる。
 江部 後ですね、89年とか90年ですね。
 大月 90年前後に入った世代になるわけですよね。
 ふだんのお仕事、さっきもちょっと控え室でお伺いしましたけど、もう1度お伺いしますけれども、商品開発ということですけれども、具体的には、例えばどういう仕事があるわけですか。
 江部 現在、ビールと発泡酒の新商品開発の企画のほうの部門の仕事をしておりまして、最近の担当しました商品では、夏に出しました、夏季限定の発泡酒の「常夏」と、あと、今、発売しております冬季限定の「白麒麟」で、このような商品開発をしております。「白麒麟」は今店頭に並んでいます。
 大月 ビール業界って今どうなんですか、正直。広報の人がいるから、いらんことは言えないだろうけども(笑)。どっちが偉いんですか、広報の人と。
 江部 偉いということはないと思うんですけれども。発泡酒のほうが今、なかなかこういった経済状態の中、ビールと違いまして、価格も安くて、おいしくて、飲みやすいということで、発泡酒が非常に売れてまして、発泡酒の新商品は非常にふえているというような状況ですね。ただ、酎ハイであるとか、いろいろなお酒がたくさん飲まれるようになってますので、全体の消費量自体は結構頭打ちの状態にありまして、なかなか……。
 大月 ばんばん伸びるというほどではない。
 江部 ないですね。その中で、各社、いろいろ工夫をこらして商品を出し合っているような状況ではあると思います。
 大月 大体、お酒ですよね、お酒って、だけど、会社の中では女の人っていつごろからふえ始めた?
 江部 女性がふえたという意味では、確かに均等法以降ですけれども、社内では特別ふえてはいないような気はします。
 大月 今、一番年配の現役で、女性の方って、お幾つぐらいの方がいらっしゃるんですか。
 江部 働いている方は、もう定年まで働きますので。
 大月 定年までしがみつく、それはすごいわ。
 江部 結構うちは平均年齢が高いと思います。
 大月 じゃあ、それはよっぽど居心地がいいんだな、そういうことですね。
 江部 そうですね、働きやすい会社だとは思います。
 大月 でも、江部さんより上の方だと、どういう仕事をされている方が多いんですか、女性の方。
 江部 さまざまですが、私より上の方ですと、いろんな技術系で活躍されている方もいますし、あとは、全体的に見れば、もちろん男性よりは総務部門が多くはなりますけれども、技術系の方であるとか、活躍されている方は、あとそれこそ広報であるとか。
 大月 例えば、定年前だったら、50代とかの方のいらっしゃるわけですよね。
 江部 そうですね。
 大月 そのころ、キリンビールを選んだ方って、どういうモチベーションで来たんだろう、まあ聞いてみないとわからないんだろうけど。
 江部 私もある面そうですけど、父がすごく飲んでいたとか、やはりキリンビールには非常にそういう思い入れは、皆さん、あると思うんで。
 大月 最初から? 本当かな(笑)。
 江部 入社する時点で、どちらかというと、自分が飲んでいたというよりは、親が飲んでいたみたいなイメージがあって入っている方が昔から多いと思います。
 大月 仕事はおもしろいですか、ぶっちゃけて。
 江部 おもしろいですね。
 大月 何がおもしろい?
 江部 ご存じのとおり、いろいろな、お客様の嗜好ってどんどん変化していきますよね、それに合わせて、その時代時代に合っている商品を考えていく、それが店頭に並ぶということはやりがいはあります。ただ、なかなか厳しいですけれども。
 大月 年収も満足できる水準ですか。
 江部 どうなんでしょう、年収並みの働きをしているのか。
 大月 ご自分ではどう判断されますか。
 江部 そうですね、それなりに。
 大月 広報がいるとやりにくいよな(笑)。
 江部 いえいえ、そんなことないです。
 大月 あそこにお目付がいるんだもんな。くっついてくるんだもん、やっぱり大企業は大したもんだよね、要らんことを言ったら、後でえらいことになるわけだな。
 江部 とんでもない。
 大月 はい、ありがとうございます。
 中居さんは、帝人のほうですね。帝人さん、すごいですよね、もういろんな物をつくってらっしゃる、わかりやすいけれども、今は、帝人さんというのは、会社としてどういう展開になるわけですか、どういうところがメーンになるわけですか。
 中居 私たちのいるグループは、帝人の素材を使いまして、製品化までするという部隊におります。
 大月 これが今、主に担当されている。
 中居 私がやっておりますのは、この軽失禁用のパンツ、ショーツでございますね。
 大月 これから、それこそ福祉関係で伸びると思われる市場ではある。
 中居 そうですね。福祉というのでなく、本当に健常な方もはいていただけるような商品だと思っています。
 大月 前から思っているんですけど、「軽い尿漏れ」というコピーはどこから出たんですか、これは帝人さんのオリジナルではない?
 中居 じゃないと思います。
 大月 どこかで出たんですよね。
 中居 そうでしょうね。「軽い尿漏れ」は、確かにある方はいらっしゃいますので。
 大月 最初、すごいインパクトがあったんですよね。
 中居 もともとこの「ウエルドライ」はレディース、婦人物から始めてますよね。それで、取引先のほうから、男性用の格好のいい物をつくってもらいたいというような要望もありまして。
 大月 男もあるぞと。
 中居 はい。だったら、じゃあ、本当に皆さんにはいていただけるような男性用の物をこさえたいと思いまして。男性の場合は、失禁ではなく、どちらかというと残尿のある方を中心として考えて……。
 大月 男性の場合、尿道が長いですからね。
 中居 やっぱりちょっと機能が違いますので。
 大月 これまでは、やっぱり商品企画をずっと歩いてこられたんですか。
 中居 そうですね、はい。
 大月 帝人に入って、最初は何をされた?
 中居 帝人に入って、ユニフォームですとか、いろいろやっていましたけれども。
 大月 やっぱり最初はそういう、本当に着る物系だったわけですね。
 中居 今でも着る物もやっておりますけれども、帝人で「ウエルライフ」という介護関係の企画が始まりましたときから、そちらのほうの仕事を始めました。
 大月 帝人さんというのは、いわゆる昔は繊維、素材屋さんなわけですよね、今、もうそれでいろいろやってらっしゃるわけですけれども、業界全体としてはどうなんですか、前向きなんですか、先行きありそう、ありそうと言ったら怒られるか、どう言えばいいんだろう(笑)。
 中居 どう言えばいいんでしょうか。
 大月 かなり厳しい状況ではある?
 中居 いやあ、なかなかだと思うんですけど。
 大月 仕事は楽しいですか。
 中居 はい、おかげさまで楽しく。
 大月 年収もとりあえず。
 中居 年収はちょっと。
 大月 もうちょっと欲しい?
 中居 はい(笑)。
 大月 わかりました。ありがとうございます。
 山形さんは、どうもお忙しいところすみません、徳間さんにずっといらっしゃる、編集業ということになるわけですよね。今は『アサ芸』のセンターフォールドの……。
 山形 ちょっと恥ずかしいんですが……。
 大月 いやいや、もうさっき拝見しましたけど、あけていいものか、あけていいよね、あけちゃいましょう。担当されているページは……。
 山形 これは大丈夫です、ずっと、ここら辺まではあけられます。
 大月 担当されているのは、そういう女の子を脱がすほうなんですか。
 山形 これもやっておりますし……。
 大月 写真を主に。
 山形 基本的にグラビアですので、これがうちの一番の人気企画、これもずっと……。今、連載70回になってますけれども、その前もありますので、全部で200回ぐらい。これは、インタビューを含めて、これは直でやってます。これですと、あと、情報ものがモノクロのグラビアにあるんです。
 大月 じゃあモノクロを含めて、グラビアページの担当ということになるわけですね。
 山形 そうです。これは、どんぶりですね。
 大月 食い物ですね。
 山形 今、うちは、週刊誌、月刊誌を含めて、この3誌が、『週刊アサヒ芸能』『月刊アサヒ芸能』『増刊アサヒ芸能』、これは各月刊で、それで12月末に『無頼王』という漫画雑誌をやります。
 大月 このご時世に漫画ですか。大丈夫ですか(笑)、こんなこと、言っちゃいけない。
 山形 はい、それで、いきなり、翌月から月刊化するということで、そういった形にとか、あとは、単行本、写真集をやったりとか、そういうものを全部やっているんですけど。
 大月 『アサ芸』自体は、今、公称何部?
 山形 公称30万です。公称ではなくて、本当に30万近い数字は出ています。
 大月 今どき、30万なら立派なもんですね。
 山形 今だったら、まあそこそこ、ただ、これではいかんということで、もっと増大を、やります。
 大月 もっとふやすということになるわけですね。今、出版は厳しいでしょう。
 山形 厳しいですね、やっぱりインターネットとか、いろんなものがあって、デジタル化の中で、活字を読む方が少なくなっているので、非常にきつい部分ではあります。
 大月 いろんな雑誌、『アニメージュ』なんかにもいらっしゃったわけですね。
 山形 『アニメージュ』は、ちょうど「ガンダム」のときになります。
 大月 大変だったでしょう、それ、また別に話を聞きたいけど。
 山形 「ガンダム」は、もう富野さんにも安彦さんにもよくしていただいて、楽しかったです。『テレビランド』のころは、「ロボコン」とか「ゴレンジャー」の時代です。
 大月 ずっと最初から編集をやりたくて、出版社志望だったわけですか。
 山形 出版社の志望というのは、恥ずかしくて言えないような志望なんですけれども、ちょっと笑われちゃいそうなんですけど、私、大学のときに門限が夜の9時だったんですね。
 大月 ご自宅かなんかで。
 山形 はい。それで、外泊は絶対だめで、旅行に行くときは、宿泊先とかを全部を書いていかないといけなくて。
 大月 すごく厳しかったんですね。
 山形 そうなんですよ、まるで深窓の令嬢のような育ち方をしまして。9時を過ぎるときは、文化祭のときだけ9時はオーケーということで、それでも12時までに帰ってこないと……。
 大月 それ、何年前かと聞くのもあれですけど。
 山形 それで、このままいくと、就職しても9時が10時になるぐらいかなと思って、それではおもしろくないと。そうすると、門限を遅くするには仕事で遅くなるしかない、そうするとマスコミしかないということで、マスコミに入ったという、あんまりよくない志望理由なんですけど。
 大月 要するに、自由をきかすためには仕事を言いわけにするしかないと思ったわけですね。
 山形 そういうことです、全くそのとおりです。
 大月 今までいろいろこられたけど、最初の大前提が、今こういう仕事をされているわけですね、仕事としてどうですか。
 山形 基本的に私は、徳間に入るときに『アサヒ芸能』をやりたいというふうに面接のときに言いまして、それで……。
 大月 深窓の令嬢が『アサヒ芸能』をやりたいって、何でまた、それ、おかしいよ。
 山形 それは、そのとき、中ピ連の榎さんがちょうどやってらっしゃるときで、榎さんのご主人というのは、そのことに対してどういうお考えを持っているのかというのを、女としてすごく聞きたかったんですよ。
 大月 それは真っ当な問いですよね。
 山形 それで、そのことがやりたいと言って、面接したんですけど、結局、その当時、『アサヒ芸能』は女性がいなかった、まあ時代が時代なんで。それで、違う、「子供雑誌からやってください」みたいなところで、子供雑誌に行ったんですけど。
 大月 じゃあ先輩の女性社員というのはほとんどいないようなもんですか。
 山形 私が『アサ芸』に行くまで2人いらっしゃいましたけれども、1人は違うセクションに行って、1人はもうフリーになってやってらっしゃいますけど。
 大月 じゃあ社内的にはもうほとんどパイオニアに近いようなあれですね。
 山形 割と男性がやるページに関してはそうですね、それまでは、女性でも、『アサヒ芸能』にもいろいろ本のページとか、どっちかというとかたいページもあるので、そこを担当なさってた部分が多いんですけど、だから、どっちかというと、女性の裸とかというのは、多分私が最初かもしれない。
 大月 でしょうね。『週刊現代』なんかでも、講談社ですけど、正社員で女性を採るのがほんの数年前からだって、初めて女が来て、どう扱っていいかわからないってこと、今ごろ、そんなことをこのご時世にやってますからね。大変だったと思いますけどね。ありがとうございます。
 小野崎さん、一番お若い、きょうはあれですね。98年入社といったら、つい数年前じゃないですか。
 小野崎 入社4年目ですね。
 大月 入ったばっかりですね、極端に言えば。
 マンダムは、これは、最初から化粧品業界を志望されて入られたんですか。
 小野崎 そうですね。もともと化粧品の会社に入りたいと思ったんですけれども、どちらかというと、メークとかコスメ寄りではなくて、こういうスタイリングフォームとか、生活に密着した物を扱いたかったので。
 大月 社内は、女性の方はどれぐらいの比率で。
 小野崎 うちの部で言いますと、12名中2名が女性です。
 大月 意外と少ないですね、もうちょっといてもよさそうなのに。
 小野崎 そうですね、開発のほうはもうちょっといるんですけれども。
 大月 一番年配の世代の方って、どれぐらいの方がいらっしゃるんですか。
 小野崎 広報のほうとかですと、40ぐらいの方とか。
 大月 もう管理職でいらっしゃるんですね。
 小野崎 はい、課長でいます。
 大月 今、具体的な仕事としては、やっぱり開発になるわけですか。
 小野崎 そうですね、うちがまだ入っていない市場に対する新テーマの企画。
 大月 新規に食い込むためにはどうしたらいいか。
 小野崎 そうですね。あとは、アフターマーケットの意味で、既存品でどういうふうに改良していこうかとかという、そういったところを、リサーチ中心なんですけれども。
 大月 その脂とりなんていうのは、新たに開発されたものなんですか。
 小野崎 こちらは97年発売なんですけど。
 大月 ちょっと前に出てましたよね。
 小野崎 はい。
 大月 それは、女性の脂とり、京都なんかに行ってよくあるけど、男性用というのはああいうのとはまた違うわけですね。
 小野崎 フィルムタイプということで、普通の紙とは違って。
 大月 そうか、プラスチックだ。
 小野崎 ええ、強力タイプなんですけれども、中身が青いフィルムなんですよ。
 大月 ごめんなさい、使ったことないや。
 小野崎 とれたのがすごくはっきりわかるということで。
 大月 見えるようにしてあるわけね(笑)。
 小野崎 男性にはそういう実感を持たせるというのが大事なので。
 大月 それは情けないな、「あ、こんなにとれた」と見せないといけないわけね。
 小野崎 ええ。
 大月 そういうのはマーケティングの結果、わかってくるわけですか。
 小野崎 そうですね。
 大月 見た目にとれたとわからないと男は納得しないとか。
 小野崎 使用感ですとか、即効性というところは、男性は、リピートに続かないんですね。
 大月 買ってはみても、続けては、習慣になってくれないわけだ。
 小野崎 はい。
 大月 でも、その意味で言うと、それはそこそこ成功した商品なわけですね。
 小野崎 こちら(脂とり・カラー)の2品はそうですね。
 大月 類似製品というのがほかになかったときに、最初にマンダムさんが出した。
 小野崎 一番最初に男性用として発売したのは、マンダムなんです。
 大月 最近は、あと、そういう……。
 小野崎 こちらのカラーのほうが今、好調なんですけれども。
 大月 それは基本的に女性なんかでも当然あるわけ、それの男性版ということいですね。
 小野崎 そうですね。
 大月 大体化粧品というのは、女の物だというものが当然あったわけですけれども、最近、男性系のそういう商品開発、商品の比率ってやっぱり重要になってきているわけですか、会社的にも。
 小野崎 そうですね。うちはもともとチャールズ・ブロンソンの「うーん、マンダム」のときから男性をやってますので。
 大月 70年代の、パイオニアですもんね。
 小野崎 ただ、やっぱり女性のほうに力を入れていかなくちゃいけないとは思ってます。
 大月 むしろ、逆にね。
 小野崎 今はそうですけど。
 大月 そうか、女性の商品って、マンダムさんて、そういえば、マンダムだからあるのかな。
 小野崎 ございます。
 大月 あるにはあるんですか。
 小野崎 「ルシードエル」というブランドでございます。
 大月 わかりました。ありがとうございます。
 僕は何でこんなとこに座っているかと言われそうなんですけど(笑)。5年前まで大学にいたんですけど、今はやめまして、全く野放しの物書き状態になっているんですけれども。男らしさとか女らしさみたいな話は、専門が民俗学で、簡単に言うと歴史なんですね、そういうことで多少興味があって、ずっとやってきたりもしてたんで、お声がかかったんだろうと勝手に理解しとるんですけれども。
 それで、何をどういうふうにやっていこうかな。とりあえず、扱われている商品とか仕事の内容が男性向けだというのは当たり前なんですけれども、僕が聞きたいのは、それ以前に、会社というのはまず男社会というか、おやじ社会じゃないですか、根本的に、まあ入られた年代は違うから、いろいろ経験も違うでしょうけれども、その辺の違和感みたいなものをどういうふうに消化していったかというの、もちろん一言で言うのは大変でしょうけど、その辺をまずお聞きしたいんですよね、仕事の具体的な話以前に。
 どうでしたか、そういうのはもう当たり前にわかっていたとは思うんですけれども、これはとんでもないと思ったことは幾らでもあるでしょう。
 江部 私が入社したときが、ちょうど女性の大卒の採用の4年目なんですよ。
 大月 まだそんなものだったんですか。
 江部 まだそんなもんなんですよ。もちろん女性はずっと採用はしていたんですが、大卒の女性を採り始めて4年目ぐらいでしたので。
 大月 いわゆる総合職系でちゃんとというか、そういう形で採り始めて4年目。
 江部 なので、採用を、待遇等は男性と全く同じなんですが、とはいえ、やはり会社に入ってまずお茶くみがあって、まず部の人のお茶碗から覚えてみたいなところもあったり、それが非常に急激になくなりましたね、今もうお茶くみもしませんし、逆に、それは男性でもすればいいし。
 大月 なくなったのは最近ですか、印象的に言うと。
 江部 何年ぐらいになるんだろう。
 大月 その採用するようになってからもう20年ぐらいたっているわけだけれども、やっぱり……。
 江部 でも、ここ何年ですかね。
 大月 ようやくそういうことをさせられなくなった。
 江部 ようやくということはないですね、7〜8年前かな。しばらくは、あと、やはり何でも女性が言っても通らないことが、男性社員が言うと通っちゃったり、そういうことは入社したころはあったかなという感じはありますし、よく先輩の方が、私はそうでもないですけれども、パンダを見るように見られたと言ってましたが……。
 大月 珍獣扱いだった。
 江部 そのぐらいまでは、女性がそんなに働いてはいなかったというのが、私が入ったころの印象ではありますね。
 大月 扱い方に困っているという節はなかったですか。
 江部 ありますね。
 大月 でしょう、基本的に。
 江部 私はずっと開発とかマーケティング関係なので、本社勤務なんですが、私の次の年から営業採用が始まりまして、女性の営業マンというのが非常に今ふえているんですけれども。
 大月 外回りするわけ。
 江部 そうです。そうすると、やはりアルコール業界なので、特に、やっぱり男社会ですよね。
 大月 酒屋さんとか、そういうところに行くわけですよね。
 江部 ええ。非常に男社会なので、なかなか女性にはいろいろ大変なという話は、もうたくさんありますね。
 大月 中居さんは。
 中居 私はもう、初めから、繊維の業界は女性が働いていることもありますから、それと、本当の企画ですので、あんまり感じたことはないな……。
 大月 よく言われるようなストレスみたいなものは、ご自分的にはあんまり感じたほうじゃない?
 中居 そうですね。
 大月 でも、お茶くみとかから始まったわけでしょう。
 中居 もうそういうことは……。
 大月 ない。
 中居 今の帝人の仕事に関してはそういうことは一切、ほとんど、自主的にやることはありましても。
 大月 じゃあ女性の総合職採用みたいなものは、入られたときにはもう始まって長かったわけですか。
 中居 私の場合は、総合職ではなく、嘱託になりますので。
 大月 今でもそうなんですか。
 中居 はい、そうです。
 大月 それは失礼しました。
 中居 ですから、そういったことはもう全然経験がないんです。
 大月 立場的にまたちょっと違うわけですね。
 山形さんのところは。
 山形 うちは会社としての組織が大きくないから。
 大月 出版社は本当に小さいんですよね。
 山形 だから、そういう意味では、全然普通でした。
 大月 深窓の令嬢としては……。
 山形 いや、全然、みんな優しい人たちが多くて、やっぱりうちの両親なんかにしてみれば、出版社というものに対しての偏見がすごく多くて、すごくいいかげんな人たちの集まりのような見方をしていたんですけれども……。
 大月 おれも思いますけどね、基本的に(笑)。
 山形 皆さん、紳士だったし、そういう意味では、嫌な思いをしたことは、今もそうですけど、全然ないですね、本当に。
 大月 そうですか、それはすごいな(笑)。
 山形 ありがたいことだと思ってますけど。
 大月 普通の会社というか、普通の事務職で、お茶くみだ何だというのとちょっとまたニュアンスが違いますからね、仕事自体があれでしょうけども。じゃあ、そういうのは自分では感じたことはあまりない……。
 山形 本当に全然ない。その分、能天気だから感じなかったのかなという気もしますけど。そういった意味では、うちの会社に入ってくる女子社員というのは、非常に恵まれている気がします。私の上でも、編集職ではないけれども、総務部とかでも、もうすぐ定年という方はいらっしゃいますし、すごく居心地のいい会社なんだと思います。
 大月 じゃあ、皆さん、そんなに、環境にもう順応しちゃっているわけですね。
 山形 そうですね。
 大月 マンダムのほうはどんなもんですか。まだまだ、4年目だと、また環境が違いますもんね、世代が全然ね。もう当たり前になっちゃってるからあれでしょうけど。
 小野崎 私も去年まで営業をずっと3年間やってたんで、外回りをやってたんですけど、化粧品店って女性の担当者の方とかが多いので、全く問題は……。
 大月 外回りに行っても、男と直接というよりも、女性の方が多いということ。
 小野崎 ほかのメーカーさんも女性の営業の方とかが結構いらっしゃるので。
 大月 まあ業界が業界だもんな。
 小野崎 結構営業所でもかわいがってもらったので、周りの上司とか、先輩とかに。
 大月 なるほど(笑)。やっぱり最初、お茶くみとかから始めるんですか。
 小野崎 そういったものは全くないですね。
 大月 扱われ方に困った節ってないですか、その業界だとないか。おやじたちが、「どう扱っていいんだ、この若い子は」と、若い女の子って、家では見るけど会社では見たことないっていうのがあるわけじゃないですか。
 小野崎 営業所の結構上の方とかは、女性の営業マンということで、結構戸惑ってたときもあったみたいですけどね、本人は至って……。
 大月 やっぱり20年ぐらい、もう歴史があるから、なじんできているということですかね、そういう意味で言うと。
 じゃあ個別の仕事の内容についてお伺いしますけれども、さっきもビールの話が出ましたけど、今やもう女の人でもお酒を平気で飲むわけですね、当たり前ですけれども、でも、基本的にメーンは男性市場というものを考えてきた業界じゃないですか、それを変えていくというのは、例えばどういう苦労がありましたか、まあそれは幾らでもあるんでしょうけど。
 江部 現状の消費量、飲んでる量からしたら、圧倒的に男性が多いんですが、消費量の伸びというのは結構女性だったりしますし、あと、飲んでいる方、好きな方は、男女差って実はそんなにないんです。
 大月 好きな人は好きということ。
 江部 好きな人の飲み方とか、何が好きというのは、男性に聞いても、女性に聞いても一緒なので、そういう意味では、男性から女性に転換してきたというつもりはあまりないですね。
 大月 飲むやつは飲むということなんですね。
 江部 そういう意味での男性商品だというとらえ方はしていないですね。
 大月 ビールというのは変な酒で、別にうんちくを言うわけじゃない、日本の歴史を考えるときに、冠婚葬祭、どこへ行ってもオーケーな酒ってビールだったんですよ、最初。通夜なんかでもすしとビールというパターンでしょう、あれはかなり昔からあって、いきなりウイスキーを出すわけにいかないわけですよ、「まず、ビール」という形で浸透していった酒だから、でも、女の人が平気で飲んでいいというふうになったのは、本当にそれこそここ20年ぐらいのものじゃないですか。缶ビールを飲むのが格好いいみたいになってからじゃないですか。
 江部 そうですね。私も、だいぶ前に、飛行機の中でビールを飲んでたら、隣の外人さんに「何で女なのにビール、飲むんだ」とかと言われて(笑)。
 大月 500円、つまみつきで飲んでたわけですか、国内線で。
 江部 国際線だったんですけども。言われて、やっぱりそういう見方はまだまだどこの国でもあるんですね。
 大月 かえって日本のほうがそれはないのかもしれないな。
 江部 日本は今ないですよね。電車の中でも当たり前に皆さん、缶ビールとかを飲んでると思います。
 大月 前だったらカクテルとか、そういう感じでしょう、外人さん的に、外人だっていろいろいるだろうけども。
 今、こういうの、これは期間限定って、これ、発泡酒とか、いろいろあるわけですけれども、ここが困ったというのはありますか、苦労したって。男性的世界との接触というか、そういう、直面したことにおいて。
 江部 ここが困ったというのではないんですけれども、ビールってある面、やはり男性的な商品だと思うんです、男性しか飲まないという意味ではなくて、このビール・発泡酒というカテゴリー自体のイメージが、女性的ではなくて、むしろ男性的で、飲んでいる女性にとっても、それが非常に女性的になっちゃったら、それってそんなに魅力に見えなかったり、ある面……。
 大月 わかる、例えばの話が、女性限定ビールなんて飲みたくないと。
 江部 男性的な側面がまたビールに求めている面でもありますので、その辺で、特にこういう季節限定の、季節感であるとか、楽しさ感とかを出していくときに、男性的という面を求めている面と、あと、楽しいとか、求めているとき、それと、あと、実際に発泡酒として結構スーパーで奥様が購入される場面って非常に多いんですよ、男性が「僕はビールが飲みたいんだけど、奥さん、発泡酒しか買ってくれない」とかと言ってる方もだんだんふえているような中で、そういった中で、女性が手にとりたい、手にとりやすいという面と、あと、飲まれるとき、男性であっても、女性であっても、発泡酒なりビールの持つ飲みたいイメージというところとのバランスというところでは、いつも考えますね。
 大月 じゃあアンビバレンスですよね、完璧に女性テイストにしても女性が食いつかなくなるしという、といって、男ぷり一本でもだめだしというところ。たばこなんかだと、女性が好む銘柄ってつくられるわけじゃないですか、ビールはなかなかそうはなりにくいわけですね、そういう意味で言うと。
 江部 なりにくいですね、一部出てたりしますけど、完全な女性向け商品って、じゃあ自分が飲みたいかというと、あまり飲みたくないなと思っちゃいますよね。
 大月 ビールとか、売れないもんな。メンソレビールなんて、関係ないもんな、そんなこと言ったって、たばこと違って。
 なるほど、やっぱりある程度ビールという商品自体の男らしさというか、男性性みたいなものが、女性のマーケットにも当然必要なわけですね。
 江部 必要だと思いますね。
 大月 そういう特性があるわけですね。
 これは、さっきもお話がありましたけれども、最初、女性向きに出したんですね、これ、軽い尿漏れって、失禁用の。
 中居 女性のはもうずっとやらせていただいてます。
 大月 今までそれが問題にならなかったのはどうしてなんですか、そういう商品が出るまで。
 中居 他社さんでおやりになっているのもあったんですけれども、ちょっと介護介護しすぎているというか。
 大月 日常にはけるような物ではない……。
 中居 お若い方というか、前立腺の悪い方って、大体、肥大化してくるのが50過ぎたぐらいから始まるっておっしゃられて、その50代の方がはけるかというと、そうじゃないような商品が多かったんですね。そういうこともあって、もうちょっと若いテイストに変えていきたいというふうにつくったんですけれども。
 大月 これだとどのぐらいの世代を考えているんですか。
 中居 本当はもう60代、70代だと思うんですけれども、でも、50代の方にも、今、早いともう40代ぐらいから始まられるというお話ですので、若い方でもはいていただけるように考えてつくっています。
 大月 ブリーフ世代がそれぐらいまでおりてきているということでもあるよね。
 中居 そうですね。それと、あと、もう1つは、ソフトトランクスでもやっているんですけれども、ソフトトランクスも結構人気があります。今というのは、ご友人同士でどこかお出かけになられたりとか、ゴルフに行かれたりとか、あと温泉にちょっと旅行されたりとか、いろいろ肌着になるシーンが多くなってきているんですね、スポーツクラブに行かれるとか。
 大月 人前でというか、仲間うちでというかね。
 中居 そういったときにでも、平気ではいていかれるような商品を提供できればいいなと思っております。
 大月 要するに、家でしか見せないものだったのが、そうじゃない局面がふえてきたということですか。
 大月 案外、家族旅行なんかだと考えないんだと思うんですけれども、家族以外の方とお出かけになるときは、やはりちょっとおしゃれな物がいいんじゃないかなと思うんですね。
 大月 特徴というか、苦労されたとこというのはどういうとこなんですか。
 中居 こういった商品もこさえてるんですけれども、これはソフトトランクスですね。
 大月 とりあえず普通のトランクスというか、パンツなんですけども。
 中居 もう見た目は普通のトランクスと全然変わらないんです。これはブリーフです、ブリーフも全然変わらないですね。
 大月 やっぱり素材が売りなわけですか。
 中居 中のクロッチ部分に帝人の素材を使ってます。これはもう綿100ですので、ここはちょっと帝人じゃないんですけれども。
 大月 ここが要するに売りなわけですね。
 中居 はい。今までのこういった男性の失禁用のショーツというのは、後ろまでずうっと、吸水体のこういったものが入ってたんですね。
 大月 おむつみたいなやつ。
 中居 はい。それと、あと、こういったところも、もっとまち幅も広くて、もそもそした感じがすごくあったみたいで、とてもはきにくかったらしいんですけれども。それと、こういうった物をはいたときに、男性は、どちらかというと、すごく年とってしまったように……。
 大月 気分的に老け込んじゃうんだね。
 中居 自分でもうこんなに年とってしまったんだと思われるみたいなんですね。そうじゃなくて、まだまだ全然大丈夫なんですよというふうに持っていきたいと。
 大月 これは外国ではあるんですか。
 中居 ございます。
 大月 むしろ向こうのほうが先にあったということなのかな。
 中居 どうなんでしょうね、外国でもございます。男性用もあります、女性用もありますし。
 大月 別に外国の物にヒントを得たというわけではないわけ。
 中居 ないです。国産のほうが全然いいと思います。
 大月 質も全然いいということですか。
 中居 恥ずかしいな(笑)。
 大月 やっぱり恥ずかしいですか。
 中居 恥ずかしいです(笑)。
 ○○ 手元だけですので。
 大月 その恥ずかしい顔がいいですね。やっぱり恥ずかしいんだ。変な話、要するに、男が生理用のパンツをこうしてるようなもんだもんな。
 中居 恥ずかしいですよ。
 大月 やっぱりそうなんですか、いまだにというか、仕事としても。おもしろいな。
 中居 割にどこのお客様のとこへ行っても平気な顔をしてお勧めしてますけど、いざ、こういう場になりますと、やはり恥ずかしいです、それは。
 大月 なるべく、じゃあそういう物を扱っていると人に言いたくないとか、そういうことはありますか、日常でも。
 中居 本当はちょっと嫌です(笑)。
 大月 やっぱり恥ずかしいんだな。わかった、聞かない(笑)。
 中居 いやいや、大丈夫です。
 大月 でも、営業に回るわけじゃないでしょう、これを持って。
 中居 販促しています。特に、男性もそうですけど、女性物もやってますので、やはり女性物は女性じゃないとお話しできない面もありますので、そういった面……。
 大月 女性用だと恥ずかしくないですか、やっぱり違いますか、こだわるようですけど。
 中居 ちょっときょうこの場でちょっと恥ずかしかったものですから。
 大月 この場が恥ずかしかったわけですね。
 女性用のが当然先にあったわけですよね。
 中居 そうです、もう女性用は長くやってます。
 大月 昔からあるんですか。
 中居 もう5年ぐらい。
 大月 でも、5年ぐらい。それまでどうしてたんでしょう、現象はあったでしょうに。
 中居 女性は本当の軽失禁ですから、ちょっとくしゃみして漏れる感じですね、そういった方をターゲットにした商品を出してます。
 大月 男も、その対処は必要だということですね。商品として伸びているんですか。
 中居 そうですね、着々と。
 大月 じゃあ、今後はいろんなデザインとか色とか、バリエーションをある程度つけたり。
 中居 またいろいろ考えてやっていきたいとは思ってます。
 大月 山形さんは、もう恥ずかしいとか何とか言ってられないですね、これね、仕事からすると。
 山形 恥ずかしいという言葉はもう死語ですね。
 大月 もう当然現場に行ってもあれですしね。
 山形 だから、編集部の中での会話は、多分、普通の人が聞いたら、完全にセクシャルハラスメント
 大月 日常化してます、まあそうですね、そういう物差しで言えばね。
 山形 日常化している。だから、そういう意味では全然気にはしないし。ただ、一番困るのが、例えば、外に仕事で出ていて、携帯が鳴って、そこで何かを言わなきゃいけないときに、周りの方が……。
 大月 あたりはばかるような会話になるわけだ(笑)。
 山形 こういう感じで話さないと、この人は何を考えているんだろうという感じになるので、それは困りますけど、編集部の中ではもう全然大丈夫です。
 大月 それはそうでしょうね。満員電車の中で電話が鳴ったりして、大ごとですよね。
 山形 すごいですね、だから、「ふんふんふん」ぐらいで終わっちゃいますよね。
 大月 でも、やっぱりそれは裸を載せるといまだに売れますか、伸びますか。『ポスト』とか『現代』クラスだと、もう裸を載せてもしようがないという話もあるんですけどね。
 山形 今、すごくそこら辺が過渡期だと思うんです。やっぱり今の若い世代というのは、裸をどうぞと言われて、そのまま受け入れられない、割と弱くなっているというか、どーんと出されると引いてしまうというのが若い世代の方みたいで、そういう方たちにはちょっとしたエロティシズムというのがいいように言われてますけれども。やっぱり年代が、うちの場合、『アサヒ芸能』はメーンターゲットは35なんですけれども、そこら辺がちょうど境界線ぐらいで、やっぱりお好きな方はお好きで。ただ、編集部のつくり手がもういいかげん嫌になりましてね。
 大月 それは毎週毎週、これもんでしょう。
 山形 毎週毎週というか、毎日毎日そればっかり見ているわけで、男性社員も含めて、「もういいよ」というような感じになるんですけど。でも、やっぱり読者の方で見たい方はたくさんいらっしゃるので、そういう意味ではこれからも多分続くと思いますけれども。いっとき『アサヒ芸能』は1年間裸を封印したことがあります、そのときは確実に部数が減りましたので。
 大月 わかりやすい(笑)。
 山形 わかりやすいので、やっぱり今は裸は載せますね。
 大月 要するに、30代に読ませる雑誌って、今、一番難しいと言われるんですよね。とにかくみんな買わないから。でも、やっぱり確実にそういうつくりだと、出るものは出るわけですよね。
 当然いろんなご苦労はあると思いますけれども、さっきストレスはないとおっしゃってましたけれども、男性観なんか変わったとこはありますか。
 山形 男の人のほうが、そういう意味ではかわいい部分がいっぱいあるなという気はします。
 大月 しようがねえな(笑)。
 山形 例えば、撮影とかで現場に行っても、逆に、その男性の編集部のほうが照れてしまうという部分があって、我々は女性同士ですから、平気でさわらせてもらったりとか、よく写真が撮れるようにといって、いろいろな細かい、実はこれ、こうなってるためにはこうすればこうなるという1つの技があるわけなんで、その技を平気で、女同士なんでさわれたりとかする。男性社員はちょっと恥ずかしそうに目を伏せる、そういう意味ではいいかなという気はしているんですけれども。
 大月 いいかなと言われても困るんだけど(笑)。ほかのお友達とかに説明するとき、こういう仕事をしているって、うまく伝わりますか、お友達というのも、同性、異性、あるでしょうけど。
 山形 男の子のお友達はすごく、うちは風俗の情報が多いので、非常に私に対する期待が高くて、いろんな情報を流してもらえるということで、喜ばれているし。
 大月 情報源として重宝がられているわけですね、しようがねえな、それは。
 山形 女の子のお友達に関しては、今、そういう意味では、裸に対しての女の偏見もすごく少なくなってきているので。
 大月 まあ敷居は低くなってるね。
 山形 だから、あんまり「あなたはこんなことをやって」みたいなことはないです。ただ、一番言えるのは親ですね。やっぱり親が一番、具体的にこの雑誌を、うちの母なんかは、中づりで見るらしいんですけど、『アサヒ芸能』ってどんなことを、それを自分の娘がどこをやっているのかというのを知りたがってないですね。
 大月 もう見ないふりをして。
 山形 見ないふりをしているという感じ……。
 大月 それは知らないのも知恵ですからね。
 山形 そうですね。年をとってから心配させるのもかわいそうだなと思うんで、言わないようにはしているんですけど。
 大月 自分がおやじ化しているかもしれないという恐怖はないですか。そういうとこにずっと仕事をしていると。
 山形 おやじ化というよりは、おやじかな……、やっぱり男の人と同じ土壌で仕事をしていく上で、例えば、どんなに頑張っても男にはなれないじゃないですか、そうすると、例えば、「男はそうじゃないんだよ」という一言を言う人間がいたときに、それに太刀打ちできない部分だけは、やっぱりつらい部分はありますね。
 大月 それはもう理屈で言ってもしようがないもんね。
 山形 ただ、もうこれは感性なんで、「男の感性は」と言われた瞬間にもう何も言えなくなってしまうんで、そこは「あーん」と思うけれども、でも、雑誌も商品もそうだと思うんですけれども、感性だけではない部分で、男の人たちとは違う部分を提供できていったらいいなという気はするんですけどね。
 大月 やっぱりほかのそういう裸のグラビアが載っている雑誌があるわけじゃない、当然、そういうのは仕事の上でも見られるわけですよね、どういうふうになっているか。
 山形 見ます。
 大月 やっぱり違うなと思いますか、男がつくった誌面というのは、同じ裸でも。
 山形 裸に対しての優しさがない編集部が多いですね。だから、例えば、私は、編集作業の中でレスポンス処理というのがありまして、例えば、ここら辺にちょっとパンツのしわがあったりとか、こういうところにちょっとけがした跡があったりとかすると、通常はないので、それをきれいに消してあげるんですけれども、それを平気で載せてしまう。だから、やっぱりそれは、この子に通常ここにはないものがたまたまそのとき写っちゃったものは消してあげましょうというような、少しでもこの子の裸なりがきれいに見えるようにというふうには考えているけれども、あんまり男の人たちはそこら辺まで神経が行かないみたいで。
 大月 あるいは、むしろそれを出すのがいいと思ってたりね、逆に。
 山形 そういうことを言う人、いますよね、「やっぱりこのしわがいいんだよ」。
 大月 脱いだばっかのこれがいいだとか、あるある。
 山形 だから、たまには出してさしあげるんですけど(笑)。
 大月 サービスとして。
 山形 はい。
 大月 でも、基本的にはそういうのは隠したいと。
 山形 そう思ってるんですけどね、いいか悪いかはちょっと、どっちがいいかとは言えないですけれども。
 大月 他誌の裸系のグラビアで、これはあなどれんというとこはありますか。何、聞いてるんだ、おれ(笑)。
 山形 やっぱり他誌というよりも、カメラマンが、例えば、荒木さんなんかの裸というのはもう完全に情念の裸なんで、どんなに状況が汚くても、やっぱりそれなりのインパクトみたいなものがあるし、そういう意味では、篠山さんというのは、水着系を撮らせたらやっぱりすごいなという部分があるし。
 大月 あのおやじは化け物だよね、本当に。
 山形 だから、そういう意味では、編集者というよりもカメラマンで、多分、これから荒木さんや篠山さんに続く世代がどこまで来るかだと思うんですけど。
 大月 あの辺もいい年ですもんね。
 山形 多分、ずっとは撮ってられないので。そうなってくると、多分、裸とか、こういう水着系のグラビアも、カメラマンのテイストによって随分変わってくるのかなという気はしますけれども。
 大月 こんなの、普通、まず手にとらないでしょう、というか、とりあえずなかったことにしますよね、キオスクに行っても、何にしても。
 山形 一応キオスクには『アサ芸』、置いてあるんですよ。
 大月 絶対ありますけれども、とりあえずこれはいいという話になるわけですよね。『ポスト』とか『現代』クラスの、いわゆる50万、60万、あれになると、もう本当によく編集部のやつなんか、おれもたまに仕事すると、言うけど、もう黄金分割みたいなもんで、裸はこれぐらい、政治ものはこれぐらいで、漫画はこれぐらいと、あれは動かしようがないと言うんですよ。だから、編集者の意図とか、ここを残したいとかって、入る余地がないから、システムで流していくしかない。まだそういうのが入る余地、あるんじゃないですか。
 山形 そういう意味では、うちの編集部というのは手づくり編集部的な感覚が多くて、本当に1時間前、入稿したのに、平気で1時間後に印刷所に電話してかえちゃうみたいなところがまだ許される。
 大月 それはいいことですよ。
 山形 だから、それはいつまでも残しておかないといけないんだろうなという気はしますけどね、雑誌はやっぱり生き物ですから。
 大月 『ドリブ』という雑誌があったじゃないですか、あそこでずっと女の子を脱がしていた女の編集がいるんですよ、これ、今『週刊文春』に契約で行ってるんだけど、「ストレスたまってしようがない」と言ってましたね、「『ドリブ』のほうがよかった」と言って、だから、深酒してますよ。つくっててもおもしろくないと。一応『週刊文春』はブランドではあるんだけど、フォーマットが決まりすぎていて、裁量がないと言うんですね。だから、『ドリブ』ぐらいと言ったら失礼、もうなくなった雑誌だからいいんだろうけれども、自分の好きなようにやれたし、女の子ともやりとりがあったし、ずっと脱がしっぱなしで何年もやってたやつなんだけど、言ってましたよね。だから、大きくなったらなったで難しいですね。
 小野崎さんのほうはどうですかというか、男性化粧品ってそれこそ、さっきマンダムというのは、本当に老舗なわけだけれども、70年代から。市場的には、いろんな形で細かく広がってはきていると思うんですけれども、具体的にどんなご苦労がありましたか。これは大変だったとか、これはわからなかったとか、さっきの「わかるように」っておもしろかったんだけどね、脂がとれたというの。
 小野崎 男性と女性って本当に違うんですよね、例えば、こういうクリーム、これは顔と体と全身に使えるクリームなんですけれども、女性って割と乾燥肌の方とかも最近ふえているので、しっとりした、こってり系のクリームとかを割と好んだりするんですけど。
 大月 保湿性があるやつね。
 小野崎 そうですね。男性のほうは本当にべたつきって嫌がるんですよ。
 大月 逆なんだ。
 小野崎 逆ですね。なので、これに関しては、もう手にとるとすぐ水状に変わる、だから「ウォータークリーム」というんですけれども、男性と女性とはそういうふうに違いますね。
 大月 さっきのビールなんかとまたちょっと意味が違いますよね。ほかに違いって、痛感したポイントってありますか、マーケットを見ていて。
 小野崎 もともと化粧品自体が女性のほうがメーンであったのものなので、それを男性用に変える際に、そういう使用感とか、そういったところをちょっと変えてあげるんで……。
 大月 ベースは女性向けの化粧品があって、それをどう、ちょっと手を加えていくかということですか。
 小野崎 だから、そんなに違いとかというのはわからないんですけれども、さっき男性のほうがちょっとかわいいということをおっしゃったんですけれども、うち、リサーチとかをやってるんですね、男子高校生とか大学生、こういった脂とりフィルム。うちは先に発売して、他社さんのが発売になったときに、その違いをちょっと見てもらおうと思って、実際使ってくださいとやったときに、「ちょっとトイレ、行っていいですか」と言う……。
 大月 人前でできないわけね(笑)。
 小野崎 人前でできないという。
 大月 隠れてこうするわけ(笑)。
 小野崎 それで、「どうだった、見せてごらん」と言うと、見せてくれないで、これは先輩に聞いた話なんですけれども、そういったちょっとかわいらしい部分とかもあるんだなという。
 大月 それ、なんか健康診断の検尿みたいだね。
 小野崎 そんな恥ずかしいものじゃないと思うんですけどね。
 大月 年配の方なんかは特にそうだろうな、若い人はそれほど抵抗はない、変わってきてる?
 小野崎 年配の方のほうが、グループインタビューなんかでも口数が少ないといいますか、しゃべってくれないんですよ。最近の子は、もう女の子みたいにぺらぺら……。
 大月 それもうざいな。
 小野崎 女性化とまでは言わないんでしょうけど、だんだんそうなってきているのかなって。
 大月 見られるという意識が女と同じレベルで持てるようになってきている、若い男の子はね、ある世代ぐらいを境にして。団塊ぐらいから上の人というのは、そういう意識というのを持っちゃいけないと思ってきているし、社会的存在というのは男しかいなかったわけですよ、面倒くさい話をすると、おやじというのはそういうことなんだけど、女子供って家にいるもんだってあって、公の、社会的存在で自分がいる仕事の場で、女子供に見られるという経験がないから、どういうふうにしてコントロールしていいかわからないんですね。まして、そういうふうなものに向かってしゃべるという作法はないわけだから。だから、しゃべらないというのは、シャイに見られるけど、実はやり方がわからないんですよ、きっとね。特にそういう下半身絡みのこと、自分の体のこととか、あるいは、まさに見てくれのことなんかを言われると、「え、そんなの、気にしてこなかったよ」という話になるわけじゃないですか。若い子はそれを気にするのが当たり前になっているから、逆に言葉があるということだと思うんですけどね。
 やっぱりはっきり若い人のほうがたくさん選択肢、今はあるわけだし、売れます? 売れるのも、その購買層というのはある程度若い人になってくるわけですか。
 小野崎 男子高校生、大学生が中心になってますね。
 大月 やっぱりそんなに若くなってるんだ。
 小野崎 あと20代前半の社会人。
 大月 よくプロ野球の選手なんかで、古い評論家なんかだと、「最近のプロ野球選手はふろに入るのに、こんなにいっぱい、化粧品とか、シャンプーとか、持って入ってくる」って、頭、抱えてましたけど。やっぱりそういうふうに、今、普通なってますからね。
 染めるのも売れてますか。
 小野崎 これは、ことしの春に発売になったんですけれども、CMなんかもやってるんですけど、すごく売れてますね。今まで、若い男の子とかが髪の毛を染めたいといったときに、女性用の商品しかなかったわけですよ、それを使ったりとかしてたんですけれども、男性向けにこれを出したんですけれども、その市場自体も伸びたし、決して女性用のほうを食ってないというんですかね。
 大月 すみ分けができている。
 小野崎 はい。男性用の新しい新規層のお客様が買っていただいているというので、カラー市場の拡大につながったと思っているんですけれども。
 大月 でも、50代の部長が茶髪だったらちょっと嫌でしょう、今。
 小野崎 でも、うちは茶髪が多いんですよね。
 大月 いる、さすがにそういう業界だから。
 小野崎 多いんですよ。
 大月 キリンはいますか、茶髪の上司って。
 江部 上司にはいないですね、若い人はいますけど。
 大月 30代、せいぜい、ぎりぎり。
 江部 せいぜい30代かと思いますが。
 大月 帝人は?
 中居 やっぱり上の人はいないです、30代はいますね。
 大月 50はいないよな。白髪隠しというのはあるのか、それだと。
 小野崎 そうですね。
 大月 徳間さんだと、年配の方でも茶髪……。
 山形 茶髪はいないですね、大体がやっぱり、まあ40代前半ぐらいからは茶髪系はいます。もう今、若い子はほとんど茶髪。
 大月 もうそっちが当たり前。
 山形 はい。
 大月 アメリカ人に聞くと、アジア人の女性の場合、日本人かどうか見分けるのは、髪を染めてたら日本人だ、今そういう基準らしい、程度の度合い、いろいろだけど、ほかのアジア人は染めないけど、日本人は大抵染めているから、見分けるのはそれだと言いますけど、男もそうなってくるのかな。
 小野崎 まあ50代はいないですけど、40代……。
 大月 40代ならまあいる。
 小野崎 そうですね、あと、不精ひげとか、全然、普通です。
 大月 すみません(笑)。
 今いろいろ具体的にお話を伺いましたけれども、この際、お互い、全然違う業種じゃないですか、聞いてみたいことはないですか。まず、接触しないでしょう、全部、まあここ(キリン・マンダム)はちょっとあるかもしれないけれども、こっち(帝人、アサヒ芸能)はないだろうし、こういう広告(帝人)を『アサヒ芸能』に、まあ載ってもいいんだろうけど、あんまりないですよね。お互い、なんか仕事が全然違うの、たまたまこういう機会ですから、聞いてみたいことはありますか、どうせなら仕事に生かせるようなことはあるかと。
 意外とかたまっちゃうのかな(笑)。
 よく新聞なんかで、女性の社会進出とかという言葉は死ぬほど使われてきたし、女が仕事でどうたらというけど、仕事って言うけど、例えば、全然違う仕事なわけじゃないですか、同じ会社だって営業と現場で違うし、商品開発とかマーケティングのほうとまた、総務とか人事とか違うわけでしょう、そういう違いは男だってあったはずなのに、男の側がそういう違いをこれまで全然意識してないから、女の仕事と言ったときも一くくりになってしまう、見ててそういう気がするんですね。
 だから、さっきおっしゃってた、おじさんたちは言葉が、反応なんかないというの、同じように、自分の仕事についてもそういう言葉を持ってこなかったら、女の側にもそれを引き継いでしまっているところはあると思うんですよ。だから、もっとそれを具体的に、この辺がこうだとかというのは、自分の仕事の場での体験というのを言葉にしていくことというのは、女性の側からしていったほうが、そうしたら向こうも、男の側も引き出してくるような気が、僕はずっとしてるんですけどね。僕は、いわゆる会社勤めをちゃんとしたことはないから、あんまり言えないけども。
 中居 先ほど言われていたように、これを製品化したとき、社内で50代ぐらいの方に本当ははいていただきたかったんですね。皆さんに、これをあからさまに持っていって、これ、お願いします、1度ぜひはいてみてくださいと。こういうのが出ましたから、試しにはいてもらいたいと。そうしたら、普通のショーツだったらはいてくれるんでしょうけれども、「失禁」と書いてあるところに抵抗があるみたいで、皆さん、本当に断られまして、逆に若い人に。やっぱりはき心地感が女性だとわからないんですね、クロッチがちゃんときちんとついているのかとか、ちょっともそもそして気持ち悪いんじゃないかとか、いろんなことを思ってつくったものですから、そういったはき心地感をやっぱりだれかに聞いてみたかったんですね。そうしたときに、やっぱり若い男性のほうが積極的にはいてくれますね。もう全然、自分とは関係ない世界なんだと思うんですね、はいてみてくれて、ちゃんと次の日にはこうだったというふうに話もしてくれますし。
 大月 年配の人ほどやっぱり抵抗が……。
 中居 なかなか話を返してはくれないですね。でも、この商品は、一応その当時の課長と一緒にこさえてきたんですけれども、課長があそこはもっとこうとか、いろいろと話をしてくれましたし。
 大月 自分ではいて。
 中居 あと工場の常務が、大変、積極的にしてくださいましたので、そういう人がいないとやはりこういった物はつくれませんので。
 大月 これはとりかえじゃないんですよね、くっついたまま。
 中居 このまんま、ついたまんまです。男性も女性もそうですけれども、特に、男性はこういうパットを使う経験が若いときから全然ないですから、もうとったりはずしたりなんていうことは絶対されないでしょうし。
 大月 このまま洗濯できるように。
 中居 このまんまお洗濯していただければいいように考えています。
 大月 女の人だって、生理用品をつくるようになったのはほんのここ20〜30年ですからね、今あるような形でですね。まして、初期のナプキンだって、だいぶ素材が変わってきてますしね、だから、そんな古い歴史があるわけじゃないですけれども。やっぱりなかなかモニターで上がってきにくいという問題があるみたいですね。
 中居 そうですね。
 大月 その辺、ビールなんかは楽でしょう。
 江部 そうですね、それは聞くことは、皆さん、割と、それこそ40代の男性とか50代の男性ほど熱く語ってくれたりしますし。
 大月 それまたバイアスがかかってそうだけどな。
 江部 そういうのはありますね。
 大月 「ちょっとトイレ、行っていいですか」って飲むやつはいないよね、これは頼んでもね。
 江部 社内でも、やれば、それこそバイアスかかりますけれども、これは喜んでみんな協力してくれますけれども。
 大月 でも、どうなんですか、正直言って、メーカーごと、商品ごとにそんなに違いがありますか。
 江部 違いはありますが、もう気分とか、そのときの体調とかで違うので……。
 大月 そっちだよね、場とか。
 江部 大きな違いかと言われれば、それは違いはありますけれども、大きな違いではないと思います。
 大月 インスタントラーメンみたいなもんだもんな、あれ、ビールはビールだし。
 これはモニターというのはやっぱりやる? 当然、読者の声とか反響はあるわけでしょうけれども。
 山形 一応アンケートは全部毎週上がって来ます。
 大月 生で聞くようなことというのはあるんですか、「これでぐっとくる」みたいな(笑)。
 山形 個々の、全くの知らない人に聞くということはほとんどないですね。以前は、モニターの方を集めてということはあったんですけど、なかなかこういう商品ってまともに、さっきのお話じゃないですけれども、本当のことは言わないですね。ただ、手紙には書いて、アンケートとかには書いてきますけれども、自分の顔が見えるところでの話というのは、ほとんどみんな格好つけてお話しするんで、そういう形ではやってないです。
 一番おもしろいのは、うちの読者の男性もそうなんですけれども、一番私が困ったぞということが、そう言えば1つあったんですね。この「隣の美人妻」というページをやっているんですが、これは、本当に素人の方が、編集部にお手紙をいただいて、その方に登場していただいて、インタビューして、こういう写真を撮って、ここにその内容を書くというページなんですが、実はここに書いてあることというのは、聞いたお話の70%ぐらいなんです。なぜかというと、100%本当のことを書くと、読者の方がうそだろうと言ってくるんです。
 大月 逆に。
 山形 逆に。要するに、あまりに赤裸々すぎて……。
 大月 露骨すぎるわけだ。
 山形 露骨すぎて……。
 大月 これはつくってるだろうと。
 山形 そんなのうそに違いない、そんな人が普通の素人でいるわけがないというふうに来るんですよ。だけど、本当なんですよ。
 大月 むしろそっちが事実なわけ。
 山形 事実なの。だから、それにオブラートをかけて、少し受けとりやすいようにしているんですけれども。
 大月 刺激のないようにね。
 山形 つまり、要するに、男性にはいつまでも女性に対する、神秘なものだというか、そういう願望が……。
 大月 勘違いというか、幻想というかね。
 山形 幻想なんでしょうけど、願望があって、こうやって他人のを見るのはいいけど、うちの妻に限ってそんなことは絶対あり得ないと思ってるんです。
 大月 やっぱりそれ、あるんだ。
 山形 もう全然ありますよ、本当に。どうしてこの人はというような感じで、だから、今までも、例えば、有名な某てんぷら店の、それこそだれが聞いても知ってるてんぷら店の若奥さんとか……。
 大月 出ちゃうわけ。
 山形 出ちゃうというか、どんどん……。
 大月 要するに、手紙が来ちゃうわけ。
 山形 来ちゃう。
 大月 手紙、出さないでね、これをご縁になんて言って(笑)。
 山形 信じられないと思うんですけど、今って、女性がそういう意味では全然意識がないというのがちょっと怖いぐらいで。
 大月 全くそういうのは、雪崩が起きてますよね、ここ10年ぐらいでね。
 山形 だんなさまに相談してなさる方というのは大体2割ぐらいで、8割ぐらいは黙ってなんですけど、その黙ってるほうの方がすごくて、一応、うちはやっぱり夫婦関係に溝ができてはいけないので、大丈夫なんですか、こういうふうに出ますよ、こういう形で出ますよという形でお話をきちっとしてやっているんですが……。
 大月 説明するわけですよね。
 山形 そうすると、絶対わからないと言います。
 大月 その自信もすごいよな。だって、この雑誌でしょう、女性誌に出るわけじゃないでしょう。それがすごいよね、考えたら。
 山形 絶対わからないと言うのを、「そんなことはない、だんなさまが買ってこなくても、例えばラーメン屋さんにも置いてたり、床屋さんにもあったりとかするんです」「いや、絶対大丈夫です」と言って「そうですか」と言うと「大丈夫です」「でも、もしそれで何かあって」「何かあったら、別に離婚しちゃいます」とかと平気で言っちゃうんです。
 大月 それはもうできあがっちゃってますよね。
 山形 そういう人たちが多いので、ちょっとこれから先の女性に関しては、だから、これがもし男性の担当編集がやったら女性不信に陥るページだというふうに……。
 大月 ぐあいが悪くなっちゃう。
 山形 ぐあいが悪くなるページじゃないかなというページですね。
 大月 そんなもんですか、やっぱり。
 山形 恐ろしいですよ。
 中居 でも、女性の考え方がだんだん変わってきてますよね。
 大月 それはものすごいです、特に日本はすごいです。化粧だって、大体は和服を着た上でのそれに合う化粧をするって、伝統的にあるわけで、洋装が普及しなきゃ、いわゆる今、普通に使ってらっしゃるような化粧品って普及しないわけですよね。そこの上に男性のあれが乗っかってきているわけだから、もう何層にも経緯というか、歴史が違うわけで。
 絶対わからないという自信はすごいよね。それは、インターネットでも探すわけだよな。
 山形 ただ、さっき言いましたように、全部でトータル二百何人いるんですけれども、その中で、トラブルというか、問題になったのは2人いまして、そのうちのまた1人のケースというのが聞くも涙の話なんですけど。まずこれに本誌に出て、通常もう1回本誌のお正月号というか、まとめて何人かで、2回出るということで、一応覚書のようなものをこの方々はするんですが、それが、2回目が出た後に、出た女性の方から電話がありまして、「実はちょっと主人にばれてしまいまして、ちょっと主人にかわります」と言うんです、電話口にご主人が出てきたんです、「どうも、こんにちは」と言って、「一応、奥様とはお話の上で」と言ったら、だんなさんはもう半泣きなんですよ。
 大月 だんな、泣いてるわけ。
 山形 半泣きで、「写真を返してください、写真を返してください」と言うから、「もうそれ以外には全然どこにも使わないんですけれども、それでも返したほうがよろしいですか」「ぜひ返してください」と言うから、一応編集長のほうに確認をとって、「じゃあお返しします」と言ったら「ありがとうございました」と言って、もう怒るとかじゃないんです。
 大月 普通どなられると思うよね、主人にかわりますと言ったら。
 山形 「返してください」と言って、それでその奥さんは、その後、かわって、「すいませんでした、じゃあ写真、返してください」、全然平気なんです。その後、その夫婦がどうなったかは知りませんが……。
 大月 それは、頭痛い……。
 山形 とにかくそういう感じなんで、女性があまりにも強いというのか、居直っているというか、そういうのは逆にちょっと嫌ですね、この雑誌をやっていく上では。
 大月 女性としても、ちょっと何だなと。
 山形 女性としてすごく嫌ですね、もうちょっとやっぱり……。
 大月 むしろ、逆に、同性のあんまり見たくないところを見ちゃうわけね。
 山形 そうですね。
 大月 じゃあ、かえって男性に優しくなりません? そういう意味で言うと、哀れみを含めて。
 山形 だから、やっぱり男性がそういう意味で、こういう裸の雑誌を見たりとか、風俗にいらしたりとかということに関しては、昔からさほど、あんまり気にはなってなかったんですけど、これをやるようになったらば全然気にはならないですね、もう「どうぞ」という感じですね。
 大月 もうご自由にと。風俗も、こんな話、してもしようがないんだけど、大体1人で行くもんじゃなかったんですよ、昔はというか、おれが言うのもなんだけど、大抵、飲んだ勢いで束になっていくんですよ、風俗っていうのは。今なんか、写真を見て、1人で行きますからね、そこはえらい違いですよ、はっきり言って。あと、昔だったらって、なんか年寄りみたいになってきたな、変な話、ソープに行っても、待合室でお客とだべるわけですよ、同じ遊びに来ているという共通感があったんだけど、今、こうだもんね、全然、自分の目当てもいなかったら、「じゃあ返ります」という状態なの。
 男の側もやっぱり変わってきているんですよね。でも、どう変わっているかをちゃんとうまく説明する言葉がないまま、変わっちゃってる現実だけあるから、それでまたマーケットが動いているわけじゃないですか。今おっしゃった山形さんのケースなんていうのは、すごくそういうのが露骨に見える現場だから余計そうなんでしょうけども。
 これは奥さんが買いにくるのかな、どうなんだろう。
 中居 そうですね、どちらかといったら、通販なんかですとどなたが買われているかわからないんですね、ただ、展示会なんかのときには、男性は皆さん、見て、「ああ、なるほど、いいよね」ということはおっしゃっても、その場で、今、買いたいとおっしゃる方はあまりいらっしゃらないですね。それと、あと、女性は買って帰りたいと。
 大月 その場で、いい物だったらすぐ欲しい。
 中居 主人にはかせたいというふうに、すぐおっしゃられることは多いですよね。
 大月 そういううちはきっと、大体自分のかみさんに下着を買わせているんだよな。だんな、自分で買ってくるわけじゃない。
 中居 そうですね。それと、やっぱり奥様も毎日お洗濯されていれば、ご主人のそういう状況を多分把握されているんだと思うんですね。ですから、「あ、こういうのがいいわ」というふうに。
 それで、先ほどの話にあったように、女性のほうが、こういったことに対しても結構オープンにされるようになってきてて、それは年々変わってきてますね。ですから、女性はもう女性同士で来て、「あなたも買えば、私も買うわ」というふうに買って帰られるし、全然違いますね。
 大月 生理用品のテレビコマーシャルなんか、僕なんかの目から見ると、どんどん露骨になってるようにしか見えないんだけれども、昔はああじゃなかったですよね、出てきたころなんて。今、もう、「ちょっとそれ、聞きたくないわ」というような場合は結構あるわけで、それは変わってきているって思いはやっぱりありますよ、ちょっとそこまではみたいなね。だから、それはやっぱり変わってきているとしか言いようがないんだろうな。
 化粧品は、男の人は当然自分で買われますよね、彼女に買ってもらったりとか。
 小野崎 若い人たちの場合、こういった物に関してはそうですけど、年配層、トニックとかリキッドとかというと、その辺は奥様が購入されるというケースはありますね。
 大月 やっぱり自分で選ばないんだ、あるいは、指示して買ってきてもらう。
 小野崎 シェービングフォームとか、「いつもおふろ場にあるやつ、買っといて」とか、そういう状況だと思うんですけど。
 大月 やっぱりそうなんだ、今の40代、50代でもきっと。ということは、おやじたちは、市場にちゃんと自分の身でもって接触するということを実はあまりやってないのかもしれないですね、そういう意味で言うと、買うとかという局面。買い物に行くといったって、野菜を買うわけでも、あんまりないだろうし。
 ビールはやっぱり、でも、さっきおっしゃってたな、奥さんがまとめて買っていく。
 江部 そういうことも、ただ重たいので、結構、週末、ご夫婦で買い物されたり。
 大月 また、今、酒は量販店があるでしょう。
 江部 安いところでまとめ買いされたり、でも、まとめ買いすると飲みすぎるから、コンビニエンスストアで自分のを毎日買っていくという方もいらっしゃいますし、そういう意味では、まだまだ女性が、飲んでる率に比べれば、買っている率は高いと思いますけど、でも、もちろん男性もかなり買っている商品ですね、これは。
 大月 この間のこれ、『通販生活』は逆の立場で特集をやってたりして、高橋章子さんが司会されて、女性の向けの商品を開発されている男性のという記事であって、僕も資料で読ませていただいたんですけれども、でも、聞いているとかなり様子は違いますね、まあ物が違うから一概には言えないんだろうけども。男の場合は、仕事という意識で乗り越えられるとこがどうもあるような気がするんですよ、女性向けの商品を担当して、例えば、生理用品を担当しているといっても、いや、仕事だからというので、特に若い世代なんかできると思うんですけど、女性の場合、それだけじゃどうもないような気も、さっきやっぱり恥ずかしいとおっしゃってたから(笑)。
 中居 いやいや、この場でです、ふだんはもう全然大丈夫ですけども。
 大月 ほかにどんな商品を担当してみたいですか、全然違う業種でもいいですけれども。今のマーケティング、商品開発なら、商品開発の仕事で、延長でいったら、こんなことをやってみたいとか。
 江部 カテゴリーも、全く何も関係なく。
 大月 違っても結構ですよ。
 江部 何でしょうね、そう言われると。
 大月 ああいう仕事(アサヒ芸能)、やってみたい?
 山形 (笑)。
 大月 ああいう仕事、指差すことない(笑)。
 あんまり思いつかないということは、今の仕事にやっぱり……。
 江部 でも、ある種、ビール・発泡酒って、狭いと言えば狭いカテゴリーなので、味の差がものすごく違うものというのは、そんなにないですから。
 大月 バリエーションがね。
 江部 そういう意味では、もう全然違う、例えば食品で、全く味の違う物とか、食べ物であるとか。
 大月 やっぱり食べ物ですか。
 江部 関心は食べ物のほうがあるかな。もちろんあと、衣料品であるとか、雑誌とか、そういうのもおもしろいなと思いますけど。こういう機能的なもの……。
 大月 化粧品、こういうのもやってみたい。
 江部 うん。
 大月 小野崎さんは。
 小野崎 私は、うちは男性が多いので、女性の商品が、自分が使いたいなと思うような物を企画なり開発なりしたいですね。
 大月 何かアイデアはありますか。自分が使ってみたい……。
 小野崎 アイデアはちょっと思いつかないんですけど、女性って結構ちょっとした幸せを感じたりするじゃないですか、銀座に行ったらお茶しようとか、それですごい満たされちゃうみたいな、そういうふうにちょっとした幸せを与えられるような物がつくれたらなと思うんですけど。
 大月 それ、今はやりかもしれないけどね、そういう意味で言うと。いわゆる日曜雑貨の店ってあるじゃないですか、おれ、前から不思議だなと思っているんですけど、具体的に何に使うかわからない物ばかりですよね、なくてもいい物ばっかりですよ。でも、そのなくてもいい物だけで店が成り立つようになったというのはすごいことで、でも、大抵ああいうとこって女の人が行くわけじゃないですか、小物ってちょっと持ってたらそれこそ幸せになるみたいな、ああいう物が商品として成り立つようになった豊かさというのは、これはやっぱりすごいことなんだろうなと思っているんですけどね。これ(ウエルドライ)は、具体的な実用性があるわけじゃないですか、ビールだってそうなんだろうけど、でも、それだけじゃなくて、それにそういう、今おっしゃったみたいな、何かちょっとしたことで幸せになるものを付加しないと、もう1つ先には市場が広がらないという状況はあるのかもしれないと思うんですよね。具体的な用だけなら、100円ショップの物だって足りるわけだから、でも、身の回りがみんな100円ショップだったらちょっと悲しいわけじゃないですか、そういう気はするんだけどね。
 ずっと同じ仕事をしてたいですか。
 中居 そうですね。まあ……。
 大月 いれる間は。
 中居 していきたいと思ってますね。これだけじゃないですけれども、どちらかというと介護寄りの製品の開発はずっとやっていきたいと思ってますんで。
 大月 まだニーズはいっぱいあるでしょうしね。
 中居 そうですね、まだまだいろいろとやりたいと思ってます。
 大月 仕事をしている自分のほうが、やっぱり楽しい。
 中居 そうですね、どちらかというと仕事は好きですね。
 大月 いいことですね、やっぱりね。できたらやめたいという人はいません? お金とかの問題は別にして、ずっと家にいたい。
 江部 家にいたらつまらないでしょうね。
 大月 やっぱり外で出歩いているほうが楽しい。
 江部 調査とかをしてても、今、専業主婦の方と働いている主婦の方と、情報量の違いだと思うんですけれども、全然違うんですよ。
 大月 働いている人のほうが圧倒的に多いわけ。
 江部 圧倒的に情報量が多いと思いますね。別に専業主婦はよくないとかということではないんですけれども、やはり接している情報が全然、多分、量が違うんだろうなと思うんですね。
 大月 外には出ていたい。
 江部 そうですね。
 大月 仕事をやめることはあんまり考えてない?
 小野崎 そうですね。私、今、結婚しているんですけれども、そのまま続けていこうと思いますし、うちのだんなさんも仕事は続けてくれと言ってるので。
 大月 続けたい? 箱入りにもう1遍戻ると。
 山形 私も、一応主婦してますけど、私は基本的に、結婚するときに主婦に就職したいと思ったんですよ。でも、ちょっと経済的な事情とか、いろんなことがあって、主婦に就職できずに働いているんですけれども、本当は主婦に就職したいです。だから、主婦になりたいんじゃなくて、就職をする、要するに、主婦の仕事ってすごく奥が深くて、すごく楽しそうで、すごく自分のクリエイティブな世界が1つの家庭という中でつくれそうな気がするんですよ。それが、今、働きながらの主婦で、なんかパーフェクトではなくて、ちょっといいかげんぽいなという……。
 大月 時間もあれですしね。
 山形 だから、自分に対しても嫌だし、だんなさまに対しても随分失礼なことをしているなと思うので、だから、本当は主婦に就職したいんですけど。
 大月 当然だんなさんも働いてらっしゃるわけですよね。
 山形 もちろんです(笑)。
 大月 そうだよね。でも、主婦に就職されたら、いろんな収納とか、細かいのをつくりそうな、そんな気がしますよね。
 山形 いや、すごく、整理能力はゼロなんですけど……。
 大月 だめですか。
 山形 だめなんですけど、ただ、料理とかはすごい、死ぬほど好きなんです。
 大月 つくるのが好き。
 山形 大好きなんです。だから、いつも、夜、普通帰宅が9時過ぎなんですけど、9時から料理を必ずつくって、結局、そうすると12時近く、すべて終わりとなるのが、すごく嫌だなとかと思ってて。そうすると、主婦に就職したらいいなと思ってますけど。
 大月 やっぱり仕事している私というのが、女性の意識で当たり前にはなってますよね。それは、正社員だろうが何だろうが、外に出て働いている、プライベートと、日常と違う世界でもやっぱり自分があるというのは、もうなんか本当にデフォルトになっているとこがありますよね。それは、ここ10年ぐらいだな、大きな変化だろうなという気はしますけどね。ただ、その一方で、さっきもおっしゃったみたいな、全然意識が、どこかで敷居がなくなっちゃってるみたいなところも、弊害なのかどうかはわからないけども、あるわけで。
 男だったら、大変だなと思うときはないですか。ある? うなずいて……。
 小野崎 だって、家庭を持ったら簡単には会社をやめられないじゃないですか。
 大月 だんな、やめるって言ったらどうします?
 小野崎 それは考えちゃいますね。まあ何とかしなくちゃいけないんだろうなって、そのときが来たらそう思うんでしょうけど。
 大月 女のがやっぱりまだやめやすい、環境的には。
 江部 それは思いますね。
 大月 それはもう生活面の話で、具体的に……。
 江部 生活面の話とか、家の話もあるのかもしれないんですけど、もしかしたら、それはあるでしょうね。
 大月 だからやってられるっていうのもあるよね、これはやめられないとなったら、また窮屈じゃないですか。そう思ったらちょっとつらいでしょう、同じ会社でも。
 中居 でも、本当に嫌だったら、女のほうがすっぱりとやめてしまうんだと思うんですよ。
 大月 どうとでもなるというね、男はやめないんだよね。
 中居 それはすごく簡単ですね。
 大月 僕なんか、大学をやめるときも、それは本当に周りから気違い扱いでした、5年前。何でやめるかわからないみたいね、おれ、その辺、女に近いのかもしれないけど、それは説明したってわかってもらえないんです。
 江部 その辺、昔と違って、男女差はだいぶなくなってきているとは思いますけれども、女性のほうがやはりどこか、いざとなればやめればいいやという気持ちは逆に……。
 大月 ここじゃなくても何かあるわ。
 江部 悪い意味じゃなく、あると思いますね。
 大月 男は、どうしてもここにいないと私じゃないみたいなとこが、まだあるじゃないですか、その辺はあれですね。
 ○○ 僕が質問をつけ加えさせていただくと、江部さんに伺いたいんですけれども、男性商品、女性商品にこだわらず、ビールの開発というのは、背景につまみというのがどれぐらい含まれているのか。
 江部 非常に意識して開発する場合と、しない場合とあります。と言いますのが、今は非常にビールとか、特に発泡酒なんかは、水が

*1:通販生活』wの依頼で行なった座談会の録音データ起こし草稿。某大学での教え子のひとりがこの編集部に潜り込んでいたご縁での依頼だった、と記憶。手もとの記録やメモによると、キリン、帝人徳間書店、マンダムの各社の「中の人」がたが出席されとらした。