俺に関する人違い

 間違いは誰にでもある。はばかりながら小生なんざしょっちゅうやらかしてる。でも、やらかしてもないことをやったと言われて、しかも知らない間に勝手に叱られたりしてたんじゃ、こりゃちと困る。

 “ペログリの文豪”田中康夫サンが某男性週刊誌の連載で「大月隆寛」が書いた原稿に言及しているそうです。いや、実はそれもこの三月のことらしくて、こちとらも最近人から言われてやっと気がついた間抜けぶりなのだが、何のことかわからなくて、おっとり刀で元の記事を読ませていただいた。

 そしたらこういうことだ。

 「大月隆寛」なるもの書きがミャンマー観光局か何かとのタイアップでかの地の軍事政権のチョウチン記事を書いた。で、文豪サマ、それがいたく気に食わなかったらしい。

 「関空発の全日空機のビジネスクラスに座らせてもらって、アマンブリやアマンダリで知られるアマンリゾート系列のザストランドに泊まらせてもらったくらいで、軍事政権下のミャンマーを手放しで礼賛するとは、随分と安い値段で物書きとしての魂を売り渡したもんですな。」

 あの、文豪サマ、例によってスッチー情報だか何だか、そんな楽屋裏までかぎまわって懸命にキメのタンカ切ってるところを悪いけど、俺、そんなとこ行ったことない。サン・スーチーのことも書いたことない。まして、国際線のビジネスクラスなんか足踏み入れたこともなければ、そのアマン何たらだか、そんな文豪サマ好みのリゾートだのホテルだの、名前すら聞いたことない。それとも、俺の知らない間に大名旅行して俺の名前で原稿まで書いた奴がどこかにいるんかあ? いたらすみませんが手をあげて下さい。いや、文句つけようってんじゃない。せめておみやげ下さい、ってだけのことで。

 ああ、よろしおすなあ! ミャンマービジネスクラスのリゾート泊まりのアゴアシつきの海外取材旅行。タイコモチみたいな広告代理店にちやほやされて、飛行機の機内誌みたいなこれっぽっちも中身のない八方気配りし倒しの原稿書いて。もの書きの魂なんざクソ喰らえ、売れるものならそんなものどんどん売り飛ばしててめえの気持ちいいことだけやって世渡りしたい!もうやだ、言論だの思想だの学問だの文学だの、役にも立たない難しいこと言い合って互いにうっとりする勘違い野郎や自意識過剰のキレた抑圧女が、もみ手丸出しの取り巻きたちとのたくり合ってる狭くてクラい世界なんて!!!

    (自主規制)

 ……失礼しました。

 しかし、俺と間違えられた奴って一体誰なんだろ。なんか許し難い奴と間違えられてたら、うーん、それはそれでやだなあ。見てくれで間違われたか、それとも原稿の中身で間違われたかも問題だしなあ……よし、いずれにしてもその時は改めて仕切り直して一からきっちり怒らせてもらお。ということで、今日のところはひとまずこれにて御免。

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*1:結局、これがどこのどいつのことだったのか、確かあとで教えられたような気はするが、例によって記憶の彼方。福田和也だったかな?……まあ、もうすでにどうでもいい。