新進党党首選挙、1,000円の値打ちありや?

 あの、新進党ってくらいのもんだから、それは「党」なんですよね。「党」ってことは何らかの主義主張なり立場なりを共有する集まりなわけですよね。少なくとも、そのような立場を共有することに納得した人間たちによって作られた集まりのはずですよね。で、そういう人間たちが自分たちの親分を自分で選ぶ、そのための選挙が党首選挙ですよね。自分たちの「党」の未来を果たしてどういう親分に任すのがいいのか、それぞれ脳みそ絞って考えて、これから先その親分の下で「党」としての立場を外に向かって主張してゆこうってんですよね。

 なのに、だ。ここから先が全くわかんないのだが、なんでそういう党首選挙にだよ、「党」とは何の関係もない外部の人間が同じ一票を投じられる仕組みになってんだ? うちのクラス委員長を全国投票で選びます、って言ってるようなもんじゃないか。そんなの誰がまともに相手にするもんかい。それほど自分たちは世間から注目してもらえる存在だからファン投票の対象にもなる、と思ってるのなら、そりゃ大きな勘違い。だったら、小沢や羽田に自腹の追っかけがひと山いくらで出るくらいの芸を見せてくれって。

 僕がもしも新進党員だったら絶対に怒る。そんな自分たちと縁もゆかりもない人間が自分たちと同じ一票を行使して自分たちの未来を決定するなんて冗談じゃねえや、と大暴れする。なのに、どういう経緯でこのやり方が決まったのか知らないけど、そのように怒り狂った新進党員がいたという話はついぞ聞かない。つまり、その程度なんだな、あんたらの「党」ってのは。

 さらに、あの「千円」ってところがものすごくイヤだ。

 百万歩譲ってそういう党首選挙もありだということを認めたとしてもだ。どうしてその一票が千円なんだ? 手数料とか何とか、そりゃいろんな理由はつけられるだろうけど、これがたとえば百円なら用紙代なり何なり形だけのもので、額に意味のないことは常識的にわかる。また逆に一万円ならば、それだけの額を敢えて払う意志のある人に対して一票の権利を与えるという選別の意味が伴ってくる。でも、千円ってのは微妙過ぎらあ。どこかで、これで多少儲けたい、とか、そういうセコい思惑がどんよりよどんでくる金額だもの。

 わざわざ自腹で千円払って何の利害関係もない他人の親方選びに参加しようなんて奇特な「普通の人々」が、果たして今どきの世間にどれくらいいるものか。結局は、党員じゃないけど党と利害関係のある特殊な「普通の人々」を参加させるための装置にしかならないんじゃないの? 同じ千円ドブに捨てるなら有馬記念に投票するわい、というのがまっとうな「普通の人々」の感覚だと思うよ。