1996-08-01から1ヶ月間の記事一覧

住民投票の正義

「住民投票」というもの言いを新聞や雑誌で見かけることが多くなってきた。 原発建設をめぐる新潟の巻町の一件でもそうだし、沖縄の基地代理署名訴訟がらみでも「住民投票」がささやかれ始めている。もちろん、今のところはまだごく一部の人たちの間で盛り上…

O-157=カイワレ騒動のこと

O-157をめぐる騒動でカイワレ大根がとばっちりを食っている。厚生省が「感染源がカイワレ大根である可能性は否定できない」と発表したことでものの見事に店頭から締め出され、売り上げは激減。実際にまだ感染源が特定されたわけでもないのにただ可能性…

宮本政於、という元官僚

宮本政於という人がいる。厚生省の官僚だったが、率直な官僚批判を内部から繰り返して、結局懲戒免職になった。その間の自身の体験をもとにした『お役所の掟』などの著書で知られている。これらは英訳もされ、アメリカなど海外でも評判を呼んでいると聞く。…

安室奈美恵というフォークロア

● 安室奈美恵のニューアルバム『SWEET19BLUES』のセールスは、五〇〇万枚を突破しそうな勢いという。五〇〇万枚。見当すらつかないが、ひとまず豪気な話だ。 だが、商品音楽の市場がこういうとんでもない広がりを獲得し始めたのは何も今始まった…

STUDIO VOICE

96年上半期のニュースから

なんだかんだ言って今年ももうはや八月。というわけで、今年前半のニュースランキングのトップをずっと眺めてゆくと、はあ、そういうことか、と気がつくことがある。世間の意識がどういう方向にアンテナを向けて、どういう情報にピッと反応しやすくなってる…

書評・今川勲『犬の現代史』間直之助『馬の表情』オバタカズユキ『ペットまみれの人生』

*1犬の現代史作者:今川 勲現代書館Amazon かつて、板倉至という軍人が.いた。軍用犬研究班の主任で陸軍大尉。一九三一年九月、関東軍が軍事行動に出た柳条湖事件の時、日頃から訓練していた三頭のシェパードを軍用犬として連れて前線に立った。 「『那智』『…

書籍流通の変貌

最近、取り次ぎを介して配本したはずの本が二週間足らずで戻ってくることが多い、という話をあちこちで耳にする。しかも、梱包が解かれた形跡さえない、明らかに中身を確認もしないでそのまま送り返してくるのだ、と出版社の人間たちは苦い顔で言う。 出版社…

「情報公開」という正義

どうやら世間の最近の新たな“錦の御旗”は「情報公開」のようである。 仙台高裁で食料費についての情報公開をめぐって「全面開示」の判決が出た。官官接待で接待した相手の氏名まで情報公開しろ、というお裁き。個人の氏名はプライバシーに関わるから情報公開…

「文化侵略」ということ

まず最初に、先々月のこの欄で小生の書いた「無断引用・言及」問題について、多くの読者から問い合わせをいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。 関係者に聞くところでは、版元である吉川弘文館はもちろんのこと、当事者である編者と著者も相変…