「89」の延長戦だぜ

 もう遠い昔のことのような気がするが、そんな気がしちまっていいわきゃないのでここは萎える気持ちを無理矢理奮い起たせて書く。

 マドンナブームというのがあった。あれでバブって当選した連中は今回ほとんど落選したけれども、彼女たちが任期の間一体何をやってたかについて、まだ誰もきっちり伝えていない。たとえば、東京都議会で得意満面、「サラワクの熱帯雨林について」質問したのがいる。三井マリ子だ。答弁させられたのはどんな部署の役人だったか知らないが、さぞ困ったろうと思う。 そういう厖大なスカや勘違いを含み込んで「新しいかたち」は模索され、作られねばならない。もちろんそうだ。しかし、それをきちんとスカと認めて「おまえはバカだ」と言ってやる足場がないままじゃそれは単なる素人の放し飼い状態。バカはどこまでもバカのまま、得意満面につけ上がる。

 四年前、橋本治がこんなことを言っていた。

 「もう「女の天下」なんだから。なにしろ、「女の政治」は「男の政治」のレベルの上を行かなきゃ、「変わった」にはならないんだから。「男の政治」とおんなじレベルじゃ、「女の政治」は負けなんだから。「男と女の政治」でもいいけど、リーダーシップを発揮される方は、ちゃんと「虐げられた男」のことも拾い上げてくんなくちゃいけないんだからね。」

 「男」を「玄人(の政治家)」に、「女」を「市民(シロウト)」に置き換えるだけでいい。八九年に起こっていたことを正面から考えようとしないままでいたツケが今、おそらく最悪のかたちで回ってきている。せいぜい参議院地方自治体にとどまっていたムチャクチャが、いよいよ衆議院や他でもない内閣そのもの、権力の中枢でも平然と起こり始めた。それをしも「変革」だと、過渡期なんだと腹くくって引き受けられるだけの目算でもあるならそりゃ全く立派なこったけどさ、でもあんたらそこまで覚悟あってはしゃいでんのかよ。たとえば、そう、築地の「良心的」新聞屋さんたちよ。