2002-01-01から1年間の記事一覧

鉄腕アトムの誕生日、だと?

イラク、もうおしまいですねえ~。なんせ首都バクダッド市内にアメリカ軍の装甲車だの戦車だのが縦横に走り回ってるんですから。 やれ、泥沼化だ、長期戦だ、アメリカ帝国主義はきっとひどい目にあうぞ~、と煽ってきたメディア方面、つくづくアホ丸出し。だ…

匿名批評の伝統

書評、というのとはちと違いますが、でもやはりこれは「批評」とか「評論」界隈でのそれなりに大きなできごとだと思うので、触れさせて下さい。産経新聞の名物コラム欄「斜断機」が、この三月いっぱいで終了したんですね、これが。 もともとは匿名の批評コラ…

思いっきりおおざっぱな「ラブコメ」・試論

*1 ● ニッポンのマンガ表現において、「少女マンガ」「少年マンガ」という分類が、事実上意味をなさなくなったのは、おおむね1980年前後のことでした。 具体的には、『タッチ』『みゆき』に代表されるあだち充の一連の作品あたりから顕著になり、高橋留…

ざまあみやがれ、というキモチ

ざまあみやがれ、ヤンキー! ……てなことをいきなり言うと、いまどききれいにアブナいシト扱い、周囲十数メートル以内に誰もいなくなること必定でありますな。あ、いや、いかにあたしだとて場所もわきまえずそんなこと言やしませんし、そこらの保守オヤジみた…

「若さ」で世の中は変わらない

政治もまた芸能である、というのは、あたしの持論であること、それは前回も申し上げました。 例の鈴木ムネヲの「馬一頭」の美談にしても、そういう芸能の脈絡で見たらそれなりの背景とか文脈がある。あるんだけれども、ただ、それをきちんと評価する観客も、…

追悼・青木雄二という身体

● 青木雄二について述べる。 最初に会ったのは、雑誌のインタヴューだった。今は亡き『マルコポーロ』の企画。当時すでに『ナニワ金融道』が大ブレイク、あの型破りの絵とおはなしとで、小うるさい能書き並べるマンガ読みはもちろんのこと、使い捨て読みっぱ…

追悼 青木雄二

ギターがくれた「自由」

● ギターが、「自由」だった。 「エレキ」と称された電気ギターではない。「フォークギター」とひとくくりにされたアコースティックの、そしておそらくはスチール弦のギター。60年代ならばPPMやジョーン・バエズ、ウディ・ガスリーやボブ・ディランの画像と共…

『噂の真相』廃刊、か?!

『噂の真相』がいよいよ来年春に廃刊だそうであります。 え、そのハナシ、ついこないだの【サイバッチ!】で飛ばしてた、って? はいはい、あれ、あたしのタレコミ。ソースは、って? 神林編集長じきじきにそう聞いたんですから文句はないっしょ。 【サイバ…

「書評」はいまどきタイヘンなのです

書評とそのまわりのあれこれを、それらを成り立たせている仕組み(ここが実は重要)も含めてこれだけ好き勝手に書いていると当然、あたし自身に書評の仕事が舞い込む、ということもなくなってきます。あたし個人の営業的には笑いごっちゃないんですが、でも、…

ムネヲ、の哀しみ

政治は芸能である、なあんて、いきなり言うと、ヘンに聞こえますか? 昨今の田中真紀子VS.鈴木宗男騒動なんかについて、なんですけど。www.youtube.com 騒動のあれこれについては、もうおなかいっぱい、新聞は言うに及ばず、テレビのワイドショーからニュ…

マンガ評・武富 智『キャラメラ』

惚れた腫れたのよしなしごとはこっぱずかしい。特に、ニキビ面したセイシュンにはなおのこと。だもんで、恋愛ものは「ラブコメ」というギャグ仕立てでかろうじて成立してきた。ドジでマヌケなオンナのコが、最後にやっぱり「そんなキミが好きだよ」と言って…

『SIGHT』の濃いダシ

*1 雑誌界隈で今、書評に限らず活字関係のページを奮発してるのは、さて、どこだと思います? 『ダヴィンチ』なんて万年提灯持ちがお約束の広告系ベタベタの外道は別ですぜ。そうするってえと、案外これが『SIGHT』だったりするんじゃないかいな、と。 …

野坂昭如のこと

*1 作家野坂昭如の本領はやはり短編から中編、前シリーズの「野坂昭如コレクション」の解題を担当させていただいた時にも、企画段階からそのことは強調していた。 「テンポとリズムがねえ、やっぱり身体にねじこまれるっていうか、特に西日本、関西弁の文化…

高橋がなり 聞き書き

経済活動は利潤追求が第一義なのは紛れもない事実。 でも、ちょっと待ってほしいのだ。ただ目先の利益を 追求して金儲けさえできれば、それでいいの……!? 破天荒な企画と低価格販売でアダルトビデオ業界の常識を覆した男と 民衆文化を幅広く、独自のリアルな…

三人の具眼の士

*1 「さて、君もこれからどしどし論文を書かなきゃいけないんだけれども……」 廊下の端っこの小さな研究室、講義のある日は真っ昼間からさしむかいの酒盛りが、いつしかお約束になっていました。 「学者の世界というのはほんとに狭い。自分の書いたものがどこ…

「地方」の暮らしの手ざわりとは?

この連載が始まった頃から、どだいこの大月っては何をしているやつなのか、という疑問が、特に最近わが『MEETS』を手に取るようになった若い衆から寄せられるようになったようです。 以前、及ばずながら大学で教えていたことは前号でも触れましたが、今…

地方で暮らすこと、の〈リアル〉

この連載が始まった頃から、どだいこの大月っては何をしているやつなのか、という疑問が、特に最近わが『MEETS』を手に取るようになった若い衆から寄せられるようになったようです。*1 以前、及ばずながら大学で教えていたことは前号でも触れましたが、…

不況なんてこわくない

不況だ不況だあ〜、と、新聞やらテレビやらが連日叫んでおります。小泉首相の構造改革なんぞ嘘っぱちだあ、騙されるなあ〜、と、例によって世間の風向きに棹さすのが商売のあまた評論家、文化人その他が言い始め、ほれ、失業率がまたこれだけ上がったぞ、新…

書評・沖浦和光『幻の漂泊民・サンカ』

「サンカ」と聞いてピンとくる人は、ある意味要注意。さらに「漂泊」「異人」「異界」「周縁」「闇」なんてもの言いにもうっかり眼輝かせちまうようならなおのこと。そういう性癖を持っている向きにいきなり冷水をぶっかけるような本、なのだ、ほんとは。 山…

『新潮45』のトホホ

*1 安野モヨコ『美人画報ハイパー』、テリー・ケイ『白い犬とワルツを』、ジャックウェルチ『わが経営』、以上三冊並べて四ページ、それぞれ半署名の書き手による書評欄ときたら、さて、どこの雑誌でしょ。 正解は、なんと『新潮45』であります。活字文化…

クリスマスのかたち

年越したハナシで申し訳ない。あの、クリスマスの前に何だか知らないけど、おのれの家のまわりをやたらめったら飾りたてるのって、これまで以上にはびこってません? 関西方面がどうなってるのか、いまひとつわからないんで首都圏ローカルな現象だったらすま…

活字の「文化」の終焉

*1 「いやあ、何とか今月は大丈夫だったなあ、って感じですよ。いつつぶれても不思議ないです。本? いやもう、自分のところの新規企画なんか出せる状態じゃないですよ」 名前を言えば誰でも知っている、まずは老舗の出版社の編集者の言。数十年続く雑誌の大…