1997-01-01から1年間の記事一覧

Come On!柳美里

先月、連載の口あけで書いた柳美里サンのサイン会中止の一件に触れた原稿に対して、ご本人からきっちり因縁をつけられました。いやはや、店開き早々名誉なこってす。 抗議文の現物は今出ている『SAPIO』(小学館)に載ってますが、つまりは小林よしのり…

山上たつひこ、の復活を望む

*1● 朝日新聞が今年から始めた手塚治虫漫画賞が、ようやく第一次選考まで終わった。 選考委員が三十名という、この種の賞としては異例の多人数だったことに加えて、委員が顔を合わせて合議をせず、それぞれの推薦する作品に持ち点を配分して投票した結果を機…

西日本新聞

「脱藩浪人」の弁

仕事を辞めた。 国立大学、およびそれに準じる職場に八年間勤めたことになる。退職金は給料の約八ヵ月分。公務員はとにかく年金がつくまでいないと損だよ、とはまわりから耳タコに言われてきたけれども、なるほど改めてそう思った。とは言え、そんなもの目当…

「歴史」の回復のために――生方敏郎『明治大正見聞史』(中公文庫)

「歴史」というもの言いがあちこちで取り沙汰されるようになっています。 この四月から採用される中学校の歴史教科書の中に、いわゆる「従軍慰安婦」についての記述が入るようになる、そのことについての議論がひとつのきっかけだったことは間違いありません…

書評・与那原 恵『物語の海、揺れる島』(小学館)

物語の海、揺れる島作者:与那原 恵小学館Amazon *1 阪神大震災の直後、被災地を中心にレイプが多発している、という噂が広まった。ボランティアの若い女性が瓦礫の中に引きずり込まれて暴行された、車で遠く連れ去られて強姦された……各メディアはこぞってこ…

週刊ポスト

「久米調」の未来

テレビのニュース番組で、キャスターが何か事件を伝えたその後にちょろっと何かコメントをつける、というスタイルがあります。それはキャスター個人のコメントであるようで、しかし実はそうでもないようで、という微妙なあたりを一発で狙い撃ちするのがまさ…

メディアに顔を出す、ということ

地下鉄に乗ったら、『サンデー毎日』の車内吊り広告に自分の顔写真が載っているのを発見。あちゃ、しまった、と思ったがもう遅い。いたたまれない。いや、そんなの自意識過剰で実際は誰も気になんかしていないというのは百も承知しているんですけどね。面目…

「歴史」がその輪郭を変えてゆく

● 「歴史」がその輪郭をみるみる変え始めています。この世紀が変わる頃までには、われわれ日本人にとっての「歴史」のありようは、少なくとも戦後半世紀の間共有してきたそれとはずいぶん違ったものになってゆくような気配が、良くも悪くも濃厚にあります。 …

地震予知、という嘘

伊豆方面で地震が続いております。このあたりを震源地とする群発地震は過去にもあったとは言え、今回のはちょっと様子が不気味であります。 ただ、東日本に住んでる人間は「いつかは来る大地震」にずっと脅され続けているもので、まあ、生きてるうちにいずれ…

池田大作が出てこない

*1 池田大作が国会に出てこないというのは、はて、一体どういう理由からなんだろう。 わかったようで実はよくわからない。選挙をにらんだ創価学会潰しだからとか何とか、理屈は確かにいくつもつけられているけれども、今や「宗教法人ってのはロクに税金も払…

オシッコで命拾い

「オシッコで命拾い」という、ちとけったいなニュースがありました。詳細は不明だけれども、故障で車輪が出なくなった油圧装置に乗員がオシッコを入れて応急処置をしたということらしい。飛行中の機内からそんな処置ができて「乗員3人無事着陸」というのだ…

腫れもの扱い、北朝鮮

北朝鮮が亡命騒ぎで大変なことになっちまってます。 「かつてのソ連からマルクスが亡命したようなもの」なんてうまいこと言う向きもあるけれども、何にせよあの黄さんという書記は北朝鮮でそれくらいとんでもなく高い地位にある人ということらしい。 一方で…

つの丸『みどりのマキバオー』の断然

*1 えー、まいど、民俗学者の大月です。 このたび新しくこの『ビッグゴールド』のお座敷にお呼びがかかりました。一部では「日本一性格の悪い学者」「学者の皮をかぶったゴロツキ」、あるいは「本多勝一から中島みゆきまで、あとさき考えず噛みつく狂犬ライ…

ビッグゴールド

「たまごっち」騒動

コンピューター(パソコン)と英語とがこれから先、新しいリテラシー(読み書きの能力)として「国民」を選別するものさしになってゆき、同時にこれまで経験したことのない陰微な「差別」意識を生む母胎になる、としつこく言い続けている小生であります。 こ…

書評・Y・ラズ/森泉弘治・訳『ヤクザの文化人類学』(岩波書店)

ヤクザの文化人類学: ウラから見た日本 (岩波現代文庫)作者:ヤコブ ラズ岩波書店Amazon 今から十年ばかり前、こちとらがまだ三流大学院生だった頃、イスラエルからやってきた文化人類学者だというひょろっと背の高いガイジンに紹介された。どこかのスパイか…

東京新聞

NHK女子アナの謎

女優になりたい、というのはわかる。歌手になりたい、というのも理解できる。ミュージシャンになりたい、というのも今どき自然だ。だが、アナウンサーになりたい、という感覚はまずもってわからない。とりわけ、今どきの女子学生などで「キャスター志望」と…

活字の本領、この状況でなお――稲垣尚友『密林の中の書斎』(梟社) 永瀬唯『肉体のユートピア』(青弓社) 安原顕『ふざけんな人生』(ジャパンミックス) 『日曜研究家』

紙の上に刷り込まれた活字によりかかりこの世のご正道から足踏み外す病いがある。その一方で、おのれの体験だけを後生大事になで回し続けてうっかり歳を食ってしまう無残もある。とかく知性ってやつはめんどくさい。 ただ、いずれそのような活字を切実に読み…

続く「癒着」のスカ――泉井事件にオレンジ共済……

あんまり次から次へとバレてゆくもんで、一体何がどのようにつながってんのかこっちの頭の中もわけがわかんなくなっちまってます。何がって、ほれ、昨今ボロボロ相次ぐ「汚職」だの「癒着」だのの件なんですけどね。 こんがらがった頭の中をざっと整理してみ…

重油汚染の報道風景

日本海沿岸でのロシア船籍タンカーからの重油流出事故の報道のされ方が、なんか釈然としない。特にテレビの報道がだ。言っちゃ悪いけど、天気予報よろしく流出した重油の移動予報を毎日やり続け、それ以外は重油にまみれた海鳥救助の話とボランティアの話で…

「テロ」ってどういうもの?

年末からずっと騒ぎになってるペルーの日本大使公邸人質事件(どうでもいいけどこの単語、ひとまとまりでもう耳タコになっちゃいましたよね)。大事件なのは間違いないけど、でも、僕の中には、あれって本当に「テロ」なの?という疑問がどこかにある。 だっ…

紅白歌合戦、復権

年末大晦日の恒例『NHK紅白歌合戦』の視聴率が、53.9%を記録したそうであります。年々凋落が言われていた“偉大なるマンネリ”にしては大健闘の盛り返しとか。 小生、この日は朝からずっと大井から船橋と競馬場をはしごしておりまして、ありがたや、奇…

書評・板橋雅弘『裏本時代』(幻冬舎)

「上質の小説や映画のような体験がどんな人間にも生きているうちに一度や二度はふりかかるものだ。/僕にとって一九八二年から八三年にかけてのあの個人的体験はまさにその一度や二度の貴重なものだった。/そして金ピカの八〇年代を予感させるあの時期を描…

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