1996-01-01から1年間の記事一覧

西日本新聞 マンガ評 

伊藤穣一さん 後編 

二十代にして今の日本のインターネットまわりの世間じゃみるみるちょっとした顔になったという時代の寵児、伊藤穣一さんにお話をうかがっております。そのとんでもない最先端ぶりの一端をさらにたっぷりお楽しみ下さい。 ――インターネット以前に、今の日本人…

文筆業者の台所事情

*1 作家であれ評論家であれ、いわゆる文筆業者たちが実際は執筆よりも地方の講演活動で食べている、という話はよく耳にする。一回の値段はさまざまだが、謝礼の相場は一時間半で三十万円から五十万円程度。高い方では二百万円などという人もいるという。講演…

O-157騒動勃発

へえ、学校給食で食中毒か、夏場だからある程度はつきものみたいなものだけど、やっぱり生ものには気をつけないとなあ、と思った程度で最初はざっと読み飛ばしただけ、ごく小さなニュースだったのが、あれよあれよという間に大騒ぎになってしまった。言うま…

文筆業者の「講演」の相場

作家であれ評論家であれ、いわゆる文筆業者たちが実際は執筆よりも地方の講演活動で食べている、という話はよく耳にする。一回の値段はさまざまだが、謝礼の相場は一時間半で三十万円から五十万円程度。高い方では二百万円などという人もいるという。講演の…

美当一調、「軍談語り」の栄光

● 勤め先の博物館で、浪曲についての展示をやることになった。浪曲、つまりは浪花節だ。今やほとんど忘れられてしまったけれども、明治の後半から大正、昭和にかけて、戦後も高度経済成長期あたりまでは圧倒的な人気を誇った国民的芸能。今の五十代から上の…

武蔵野美術  ささやかな昔

シンザンとその時代

これは今週当然リストアップされると思っていたのだけれども、うーん、やっぱりこういうニュースは今どきちょっととりあげにくいのかなあ。 何がって、ほれ、かつての五冠馬にして当年とって36歳という驚異の長寿記録を保持していたサラブレッド、シンザン…

オヤジ狩りの背景

仕事の関係でしばらくアメリカに出かけていた友人が帰ってきて曰く。 「おい、日本の若いモンって急に服のセンス悪くなってないか?」 もともと生粋の街育ち。仕事だけでなく遊びの方もそれなりにこなしていた人間なのだが、その彼に言わせると、今どきの下…

伊藤穣一さん 前編 

インターネットは英語を読めなきゃ話にならない。だからありゃ英語帝国主義の先兵で、と小生言い張るのだが、そんな能書きこいてる間にそのインターネット英語の解説本を書いて商売した男がいる。伊藤穣一さんという。まだ二十代というが他にもあちこち顔を…

EYECOM

「税金のムダ使い」の落とし穴

青島幸男東京都知事が一週間ローマに出かけたそうである。何でも姉妹都市の調印式に出席するんだとか。 それがどうした、である。知事の仕事ってのが具体的にどういうものかよく知らないけれど、常識的に考えれば、何も議会で答弁したり書類にハンコついたり…

カルチュラル・スタディーズ・考

*1 「カルチュラル・スタディーズ」というもの言いが、近頃目に立つ。 文芸批評あたりを発信地に、文学研究や美術史や社会学、文化人類学といった方面がより熱っぽい。いわゆる歴史学にしても近代史あたりにぼちぼちかぶれる手合いも出始めているように思う。…

「いじめ」の国際化?

先日、「いじめ」についての国際シンポジウムが開かれたという。背景はよく知らないが、サッカーくじや大学再編の問題を見てもわかる通り、今どきの霞ヶ関の論理の中で自己主張に血道をあげる文部省あたりが後押ししてでっちあげた代物でなけりゃ幸いだ。 間…

「いじめ」の国際化?(草稿)

つくづくいやなご時世だと思う。「いじめ」まで国際シンポジウムときた。背景はよく知らないけれども、いまどきの文部省あたりが後押ししてでっちあげた代物でなけりゃ幸いだけど。 何度も言ってきていることだけど、また言うぞ。「いじめ」はまず徹底的にナ…

安楽死の是非とは?

京都府下の病院で起こった安楽死問題で、末期ガンの患者に筋弛緩剤を投与したと言われる院長を支持する人々から「院長を逮捕しないで」という嘆願書が出たそうである。 そうだろうなあ、と思う。 かのKKCの会長に「会長、頑張れ」という会員の声が集まっ…

CD評・広沢虎造『広沢虎造浪曲全集――清水次郎長伝』(コロンビア COCF-13516〜23)

石松三十石船道中 本座村為五郎 荒神山の血煙り(一)(二) 荒神山の血煙り(三)(四) 大瀬の半五郎(一)(二) 大瀬の半五郎(三)(四) 大瀬の半五郎(五)(六) 大瀬の半五郎(七) 清水の三下奴(一) 清水の三下奴(二)(三)名人芸! 清水次郎長全集(二…

レコードコレクターズ

『少女フレンド』休刊

今年はビートルズが来日して三十年目ということで、当時の関係者の証言などをもとに彼らが日本に滞在した五日間の大騒ぎを改めて検証する、というテレビ番組を作っております。27日の夜8時からNHK教育テレビで放映されるはずなので、もしよかったら見…

パソコン通信シスオペ 阿見寛さん(仮名) 後編

前回に引き続き、パソコン通信のサブ・シスオペをやっている阿見寛さん(仮名)にお話をうかがっております。 フォーラムの場でのもの言いの作法をよくわからない、ただ質問ばかりして実はかまって欲しいだけといった対話不能の人間の参入に対してどのように…

「講座」商法の古色蒼然

講座社会学〈1〉理論と方法東京大学出版会Amazon 百科事典や全集などの大きな出版企画はもう売れない、と言われるようになって久しい。なるほど、ちょっと気のきいた辞書ならばいきなりCD-ROMになるご時世。中身以前に書物というメディアの形式そのも…

たけしを国会へ!

ったく、何ひとりでトチ狂ってんだよ、オッサン。 いや、失敬。あまりのことに不肖大月、ちと平常心を失ってしまいました。(そんなもん、何かありゃじきにそこらに放り出しちまうくせに、との声もありますが) 自民党の国会議員のセンセイが「ビートたけし…

国境を越えた人と馬――ユキコさん、のこと

*1 ● 先日行われた本場イギリスのダービーに初めて女性騎手が出走した、という報道があった。名前はアレックス・グリーヴス。 ああ、知ってるよ。何年か前、地方競馬のレディスカップに来日して、仕事でついて回ったことがある。乗り馬に恵まれなかったせい…

パソコン通信シスオペ 阿見寛さん(仮名) 前編

今度はパソコン通信のサブ・シスオペをやってる人と会ってみましょう、と担当のO氏。パソコン通信はいいけどその“しすおぺ”って何やねん、と尋ねると、フォーラムを運営するシステムオペレーターです、と馬鹿にされた。つまり、サークルの運営係というか座…

吉川弘文館のドジ

吉川弘文館という出版社がある。歴史学系の学術出版を中心とした版元としてはまず老舗と言っていいだろう。地方史や郷土史関係にも強いから、読者の中にも書棚に一冊や二冊、この出版社の本をお持ちの方がいらっしゃるかも知れない。 ここから最近出た『現代…

床下に五百万円

ワールドカップが日韓共催になっただの、海上自衛隊がアメリカ軍機をあっぱれ撃墜しただの、いつになく派手めのニュースが多い週でありましたが、その中でこの地味な物件に眼が釘付けになった。 床下に百円玉で五百万円分隠していた、という不思議なニュース…

床下に五百万円

ワールドカップが日韓共催になっただの、海上自衛隊がアメリカ軍機をあっぱれ撃墜しただの、いつになく派手めのニュースが多い週でありましたが、その中でこの地味な物件に眼が釘付けになった。 床下に百円玉で五百万円分隠していた、という不思議なニュース…

続く「盗用」問題の背景

立て続く「盗用」問題に出版界が揺れている。それも学術や思想関係といったいわゆる“マジメな本”の領域でだ。講談社のメチエ選書の一冊にかなりひどい「盗用」が発覚し、すったもんだのあげく回収騒ぎになったのが今年の始め。また、吉川弘文館の出した入門…

『日経ネットナビ』編集長 桜井敏昭さん

いやはや、猫も杓子もインターネットである。雑誌の世界でもインターネットの専門誌が続々創刊されているとか。中でも、小室哲哉を起用したCMで話題になっているのが『日経ネットナビ』。こちとらパソコン音痴にはどの雑誌も同じにしか見えないけれども、…

明大ラグビー、北島監督の死

北島忠治監督が亡くなった。 小生、恥ずかしながら草ラグビーにも自ら首突っ込むほどのラグビー好きでして、世間一般の感覚からすれば「誰だよ、それ」となるニュースかも知れませんが、この明治ラクビーの権化のような存在だったジイさまの訃報はやはり感慨…