原稿
*1 *2 ● 6月29日付けで、札幌国際大学より「懲戒解雇」されたことについて、7月13日付けで札幌地方裁判所に、地位保全及び賃金仮払い仮処分命令申立書を提出し、受理されました。 大学側からの「懲戒解雇告知書」に記載されていた「懲戒の事由となる事実」は以下…
*1 確かに大学へ入ったはずなのに、高校あるいはそれまでの日々と何も区切りのつかない毎日をすごしていると思います。 人間、生きていればいろんなことに遭遇するものですが、あなたたちがいま、10代やそこらで遭遇しているのは、敢えて大げさに言えば「文…
――ひとりひとりの個の生は、こういう私化された小さな小宇宙の複合体であり、その複合体を鞏固な統一物と見せかけているものがもろもろの文化的観念的構築なのである。そして思想とは文学とはつねに、個的な日常の規定から、そのうえにそびえ立つ文化的観念…
*1 中国は武漢発の例の肺炎、当初の予想を越えて世界規模で猖獗を極め始めているような気配があります。この原稿が活字になる頃には、またどうなっているかわかりませんが、少なくとも今、1月末の時点では、政府のチャーター便で帰国した邦人たちの間にも感…
恥ずかしながら、これでも大学、それも私立大学で禄を食んでいる身の上、それも首都圏や京阪神などの立地条件も良ければ経営規模も大きい名のある大学ならいざ知らず、いずれ地方の小規模私大、しかも昨今の少子化の荒波の中、毎年の学生集めにも青息吐息で…
先日、猫が一匹、亡くなりました。新千歳空港の駐車場で推定生後2ヶ月くらいで拾って以来18年、概ね老化と老衰の結果で、まずは大往生と言っていい逝き方でした。先に昨年9月、これは名寄の保健所でわけありの飼育放棄で保護されていたのを縁あって引き…
*1 *2 ――この国の民俗学とは社会が未だ「豊かさ」が実現できない段階での学問なのであり、その意味では貧困の文化、手弁当の窮屈の中での学問だった。と同時に、「豊かさ」から疎外された恵まれない条件の下で何か知的な営みに眼を開いてしまった人間にとっ…
*1 ――小説を映画化するということは、その小説からエッセンスだけを抽出して、そのエッセンスをもう一度、映画として豊かに再展開して行くことですから、言ってしまえば、エッセンスが濃厚でありさえすれば、原作の小説がくだらなくたってつまらなくたって失…
*1 「教養」系大風呂敷(おそらく)最後の大物 大風呂敷を拡げる人、というのがいます。拡げるだけ拡げて畳むことをしない、いや、そもそもそんな畳むなんてことを考えないから拡げられるというのもあるらしい。 凡庸通俗普通の人たちは小心翼々、そうそう自分の…
クリスマスだのバレンタインデーだのに続いて、今度はハロウィーン。海外由来の、それも商売がらみで普及していったそういうお祭りの類、昨今のもの言いだと「イベント」になるのでしょうが、まあ、これまでもあったことだし、新手のそういう類の流行りもの…
〈おんな・こども〉というもの言いがあります。というか、ありました。 今やうっかり使おうものなら、文脈その他すっ飛ばして、とにかく「使った」ということ自体でえらいことになりかねない、そういう意味ではすでに死語というか、それこそ「ポリコレ」(ポ…
*1 ● 「尊い」――そうとしか言いようがない。 今に始まったこっちゃない、ずいぶん前からそうだった。赤地に星散らしのあの勝負服は、われら地方競馬巡礼衆にとっては、ただひたすら「尊い」のだ。 的場文男、言わずと知れた大井のカミサマ。南関東の、そして地方…
「セクハラ」が、日々あちこちで喧伝されております。 テレビや新聞、週刊誌といった既成のマス・メディアは言うに及ばず、いまどきのweb環境での各種情報発信、既成メディアにぶら下がる、あるいはそうでないものも含めて公的私的入り乱れての複合環境で、…
*1 ――つねにわたしたちの論拠は〈児童文学〉という限定された、しかも複雑怪奇とまでいわれるほどに特殊な分野であって、そこに生起するさまざまの事象は文学一般の概念規定とはくい違うほどに独自の、偏狭な意味内容をもつ曖昧なことばによって表現されるこ…
● 今から59年前、1960年8月発行の雑誌『民話』第18号に、「残酷ということ」という「鼎談」が掲載されています。*1 出席者は岡本太郎、深沢七郎、宮本常一の3人。それぞれ芸術家、作家、そして民俗学者として、その頃それぞれ話題になっていた文化人たちで…
*1 西部邁さんが、亡くなりました。 遺書めいた書きものも残して厳冬の多摩川に自ら飛び込むという、自殺に等しい最期だったということですが、そのへんの詳細はとりあえず措いておきます。 「思想家」というもの言いも「文学者」「哲学者」などと同じように…
*1 *2質的心理学辞典 (新曜社)作者:能智 正博 (編集),香川 秀太 (編集),川島 大輔 (編集),サトウ タツヤ (編集),柴山 真琴 (編集),鈴木 聡志 (編集),藤江 康彦 (編集)新曜社Amazon写実的物語 ヴァン=マーネンがTales of the Field(1988)で分類、提示した、エ…
人さまの話を聴き、それを素材に何かものを書く。「取材」であれ「インタヴュー」であれ「聞き書き」であれ、呼び名はさまざまなれど基本的な営み自体は変わらない。もちろんそれが売文稼業のひとコマでも、はたまた何かおのれの興味関心の赴くままの道楽沙汰…
少し前、本誌で半ばスクープ的に報じられていたご当地、北海道は苫小牧駒澤大学「売却」をめぐる騒動の件、その後週刊誌や全国紙にも後追い的に報道されるようになり、本誌のジャーナリズム的嗅覚の鋭さが証明される形になっているようで何よりです。 地元紙…
● 「東北」でも「北海道」でもなく、ただ〈北〉である、ということ。そんな足場を最近、特に考えるようになっています。 いま、わたしたちが普通にイメージする「日本」というのは、概ね西南日本、少なくとも中部地方より西の地域に根ざしたさまざまなものの見…
*1 ● マンガが危機? そんなもん20年も前から言われとりますがな。 『少年ジャンプ』がとうとう200万部を切った、確かに四半世紀ほど前の全盛時600万部と言われとった頃からすりゃ三分の一以下、雑誌のみならず単行本も長期低落が止まらず確かにえらいことで…
「国際化」というもの言いが無条件に通りの良い、誰もが逆らえないような響きを持つようになったのはさて、いつ頃からだったでしょうか。 昨今だと「グローバル化」などとカタカナ表記に置き換えられたりしてますが、でも、ざっくり同じような脈絡で使われて…
*1 「僕はその頃十六であつた。丸く黒く、焼けすぎた食パンの頭みたいな顔をして、臙脂色のジヤケツを着て、ポケットに手を突つこんで、毎日街を歩いてゐた。」*2 「こういう、一体なにが本業だかわからないで、なんとなく喰えている男が、ひところ、浅草の…
話題沸騰、就任早々自らの選挙公約に沿った大統領令を立て続けに署名、アメリカのみならず世界に予想以上の大きな波紋を投げかけ始めているトランプ大統領。彼の出現は、われわれ日本人は果してそのアメリカについてどれだけのことを知っていたのか、そのこ…
● 有馬記念は、スタンド右斜めうしろからの夕陽と、黄色く枯れた芝の色だ。今みたいな洋芝の、管理万全行き届いた馬場でなく、11月にゃもう見事に枯れちまう昔の芝馬場に、釣瓶落としの暮れの陽がさしている。 スタートはほぼ正面からの迎え陽に始まり四角あ…
ハロウィーン、今年はにわかにえらいことになっていたようです。 小生の暮らす北海道は札幌では特段のこともなかったのですが、テレビその他のメディアを介して教えられる東京などでは、少し前までと違う様相を呈し始めているようでした。また、それに引きず…
通称「こち亀」。この短く端折った呼ばれ方こそが、今様読み物文芸としてのニッポンマンガの栄光である。 人気マンガ作品がこのように略して呼びならわされるようになったのは、概ね80年代末から90年代にかけて。『少年ジャンプ』の600万部以下、週刊誌での…
学生時代、と言っても、すでに還暦も視野に入ってきた年格好のこと、ざっと30年以上も前のことになってしまいますが、宗教学や宗教社会学/人類学といった名前の講義で「世俗化」ということを繰り返し聞かされました。「聖」と「俗」といった図式と共に、「…
骨を「処理」するサービスが、また一段とさまざまな形になってきているようです。骨、つまり「遺骨」のことなのですが。 人が死んで、火葬に付された遺体は遺骨になる。これまでは通常、骨壺に収めてそれを墓地に埋葬するという形が一般的だったわけですが、…
―――政治とは、単なる政治思想、イデオロギー、政策沙汰から党派や派閥の離合集散といった要素だけで解釈してしまっていいものでもない。誤解を恐れずに言えば、そんな表象と解釈、さらには芸能の範疇に含まれ得るような領域までまるごとひっくるめて、政治と…