思想

「保守」の再生って?

● 「保守」の再生が、改めて叫ばれています。 言うまでもない、わずか半年足らずでどうやら予想を超えてどうしようもないところにまで墜ちてしまった、昨年総選挙以降の今のこの「日本」の状況、「民主党ファシズム」とまで言挙げする向きまであるのも洒落に…

大正初期浪曲雑誌の一動向――『正義之友』から『駄々子』を素材に

*1 *2 *3 ――この間初めて一席ぶっ通して聞いたがね、妙なもんですな、浪曲って奴は。なんとなく憎めない駄々っ子といった感じですな。古い浪曲の範疇に属する語り手なんだろうが文句なんか相当デタラメが多い。それでも糞ッと思えない所がなんとも妙だ。 *4 …

「リベラル」考

● リベラル、というもの言いは、未だによく使われる。 進歩派とか良識派、というのはさすがにもう古色蒼然、まして自由と民主主義を正面から唱えてみせるには、昨今その対極にあったはずの社会主義や共産主義の類があまりにグズグズになり過ぎてしまった。思…

文科系の終焉について

学問は、すぐ世の中に役にたつものではないということをよく哲学者は口にするのであるが、しかしながらいくつかの需要が個々にあれば、少なくもいちばん目前のもっとも痛切な要求に答えうることを、まずもって学びとらなければならない。 ――柳田国男 ● いま…

大宅文庫に集まる人々

*1● 京王線八幡山駅をおりる。新宿より各停で20分。明大前でイワシの如く乗り降りする偏差値55前後の民主主義ヅラの学生たちに混じって急行に詰め込まれ桜上水でセコく乗り換えるという手もあるが、ここに来るのは各停がいい。朝の9時少し前、ラッシュの名…

書評・斉藤孝『スポーツマンガの身体』

スポーツマンガの身体 (文春新書)作者:齋藤 孝文藝春秋Amazon マンガはすでに日本人の一般教養である。かつての浪曲がそうだったように、戦後の日本人のものの見方、考え方を形成してきたメディアのひとつになっている、それは間違いない。そういう意味で、…

小谷真理vs.山形浩生事件(笑)、はこう読め!

*1 ああ、キモチ悪ィ。二日酔いの胃袋にバリウムをむりやり五リットルくらい流し込まれたみてえなキモチ悪さ。胸やけしまくって吐き気がとまらねえや。こうなるのがわかってたから実はこの原稿だけは、仕込みだけはずっとやりつつ、テキストにするのが剣呑で…

田嶋陽子、かく闘えり!(笑)

しかし、これほど世間に注目された選挙も近年、珍しかったのではないでしょうか。いや、ほんとに。 他でもない、先の統一地方選挙で神奈川県知事候補に名乗りをあげた田嶋陽子センセであります。 この御仁については、もう説明なんぞ不要でしょう。考えなし…

「現場」ということ

*1 ● 肩書きに「学者」とある。ああ、本を読むお仕事で、と言われる。 もちろんそうだ。しかしそれだけがすべてでもない。 情報化社会とひとくくりにされる錯綜した との現実の中では、文字はひとり文字だけで幸せに存在できるわけでもない。それが学聞と呼…

「奇跡の詩人」騒動は終わらない

「製造物責任」という言葉がある。企業が自ら生産したものが引き起こしたできごとに対して負う責任のことだ。「モノ」を生産するメーカーに適用される言葉だが、近年、いわゆるマスコミなどの情報産業についてもこの「製造物責任」が問われるべきでは、とい…

東大本郷田口祭り(笑)、突撃敢行余滴

東大本郷の田口祭り(笑)の一件です。【サイバッチ!】インデプスの方で概略ご報告したんですが、追加分っつ~か、続報っつ~か。 周辺情報総合するとですね、田口の野郎、大学とかインテリとかのまわりをウロチョロしては営業かけてるようです。島薗進セン…

稼業としての書評、本読むことのいまどき

古本屋に入ると、その値崩れ具合に愕然とすることが最近、よくあります。 給料をとっていた頃は、それこそ稼ぎの大半を古本に突っ込んでいたこともあって、やくたいもない雑本ならば佃煮にできるほど抱え込んでいますが、そうやって培ったはずのなけなしの相…

「論争」がなくなったワケ

*1 最近、論争というのが表立ってなくなっちまって久しいですねえ。 どうしてこの論争がなくなっちまったのか、以前、あたしゃ総括して説明したことがあります。はしょって言えば、そんなことやらかしたってトクにならない、ってことをみんな気づいちまった…

「新・教養主義」の昂揚ぶり

街をぶらぶらしていて、見つけた古本屋にふらっと入るのが楽しみ、でした。 でした、と、過去形にしたのには、少しばかりワケがあります。 大学を辞めてこのかた、不見転で古本をうっかり買い込んでしまうような財布の余裕がなくなったことがひとつ。もうひ…

匿名批評の伝統

書評、というのとはちと違いますが、でもやはりこれは「批評」とか「評論」界隈でのそれなりに大きなできごとだと思うので、触れさせて下さい。産経新聞の名物コラム欄「斜断機」が、この三月いっぱいで終了したんですね、これが。 もともとは匿名の批評コラ…

『噂の真相』廃刊、か?!

『噂の真相』がいよいよ来年春に廃刊だそうであります。 え、そのハナシ、ついこないだの【サイバッチ!】で飛ばしてた、って? はいはい、あれ、あたしのタレコミ。ソースは、って? 神林編集長じきじきにそう聞いたんですから文句はないっしょ。 【サイバ…

「立花 隆」のつくられ方

*1 メディアが英雄を作り出す手癖、というのがあります。 英雄、というのが大げさならば、うっかりとあらぬところに人を祭り上げてしまうからくり、とでも言い換えてもいいでしょう。 何も今に限ったこっちゃない。人が言葉と意味の動物であることを始めた昔…

フェミニズム、ってのがありまして……

かつて、フェミニズム、ってのがありました。 ました、って過去形にしてるのは、もう実態としては「イズム」なんて代物じゃとうになくなっちまってるってことを前提にしてるんですが。 ニッポンのフェミニズムってのは、基本的に「オヤジ」とセットで考える…

「文科系」の頽廃

いまどきの「大学」の状況ってやつは、果たしてどれだけきちんと伝わってるんでしょうか。受験シーズンになると、未だに「東大合格者ランキング」的な企画が週刊誌あたりに載ったりしますが、ここまで膨れ上がった大学のその中身にどういうとんでもない「D…

『フォーカス』の終焉

『フォーカス』が斃れた。 写真週刊誌の代名詞のようにまで言われ、「フォーカスされる」といったもの言いまで芸能界周辺を中心に一般に使われるようになった、言うまでもない新潮社の名物雑誌。それがとうとう「休刊」を宣言して撤退を決めた。創刊以来まる…

書評・中沢新一『フィロソフィア・ヤポニカ』草稿

フィロソフィア・ヤポニカ 作者: 中沢新一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2001/03 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (18件) を見る *1 一連のオウム事件A級思想戦犯中沢新一、堂々の非転向宣言、であります。ほれ、この通…

書評・中村とうよう『雑音だらけのラヴソング』(ミュージック・マガジン社)

雑音だらけのラヴソング (とうようズコレクション)作者:中村 とうようミュージックマガジンAmazon 音楽を語る、論ずる、という作法が衰退して久しい。 音楽だけじゃない。映画やマンガ、いやいや、見たり聞いたり読んだりしたら何か能書きを言いたくなる表現…

「無用の長物」の消息について

〈敗戦後という状況の中で輝いた「民俗学」〉 柳田国男が構想した大衆社会の内側からの「歴史」の回復運動について、ご紹介がてらに語ってきました。 一九二〇年代から三〇年代にかけての大衆社会化が進展してゆく時期に運動として立ち上がったそれは、当初…

「アジア」の純真

先週文句を言った尖閣列島の問題の続き。その後、香港にある日本の通信社が抗議船に乗り込んで撮影していた映像がテレビ放映された。でかした。こういう足腰がないとニュースは面白くならねえ。 あの抗議団体ってのが実はほとんど何の準備もないままで、しか…

続く「盗用」問題の背景

立て続く「盗用」問題に出版界が揺れている。それも学術や思想関係といったいわゆる“マジメな本”の領域でだ。講談社のメチエ選書の一冊にかなりひどい「盗用」が発覚し、すったもんだのあげく回収騒ぎになったのが今年の始め。また、吉川弘文館の出した入門…

林 芙美子

『放浪記』が好きだ。 たとえば、女給仲間との身の上話に興じる様子を描写したこんな一節。 「こんな処に働いてゐる女達は、初めはどんなに意地悪くコチコチに用心しあってゐても、仲よくなんぞなってくれなくっても、一度何かのはずみで真心を見せ合ふと、…

岡 正雄

*1 民俗学や人類学まわりの学史を浪曲仕立てでやったらどうなるか、ということを、まだ院生の頃、いずれ劣らぬ悪ガキたちの間でやっていた時期がある。 その時気づいたことは、“ふたつのミンゾク学”(民俗学と民族学)が未だ渾然一体としていた戦前には、柳…

オウムとメディア、その「批判」のありかたについて

*1 地下鉄サリン事件から始まったオウム真理教がらみの大騒動だが、事態がひとめぐりして幕切れが見えてくるに連れて、改めて警察の過剰捜査についての批判が出始めている。それらは報道のあり方に対する批判とも複合しながら、実際のところ何が起こっている…

オウムとメディア、その「批判力」のありかたについて (草稿)

*1 地下鉄サリン事件から始まったオウム真理教がらみの大騒動だが、事態がひとめぐりして幕切れが見えてくるに連れて、改めて警察の過剰捜査についての批判が出始めている。 それらは報道のあり方に対する批判とも複合しながら、なるほど大騒ぎしていること…

オウム・陰謀論と「リベラル」

*1● いよいよもって大変な局面になってきましたね。○ オウム真理教の一件かい。● そうですよ。確かに状況証拠からはサリンを作ったってことだけは疑われても仕方ないし、これまで拉致監禁なんか繰り返してきてることもまずいですよ。でも、それはそれとして…